2月最終日は「レアディジーズデイ」 希少・難治性疾患について知ろう!

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毎年2月の最終日は、「レアディジーズデイ」という希少・難治性疾患への理解を深め、疾患を持つ方の生活の質(QOL)の向上を図る日とされています。



希少・難治性疾患を抱える方がどのような不便を抱えているかを知るため、希少・難治性疾患にはどんなものがあり、どう接していけばよいのかについて、医師の坂元晴香先生に解説していただきました。



この記事で紹介できる希少・難治性疾患は全体のごく一部ではありますが、一年のうちで一日だけでも希少・難治性疾患に思いを馳せてみましょう。






希少・難治性疾患とは

希少・難治性疾患と指定難病



希少・難治性疾患とは、その名の通り患者数が少なくその発症機序や治療方法が解明されていない難病を指します。



全世界では、希少・難治性疾患の数は約700種類、3億5000万人の人が罹患していると推定されています。



日本では、以下の6つの基準を満たす疾患について、厚生労働省が指定難病として定めています。


1.発病の原因・機序が明らかでない


2.治療法が確立していない


3.希少な疾患である


4.長期の療養を必要とする


5.国内の患者数が一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しない


6.客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立している



平成29年4月1日時点で指定難病の数は330で、指定難病に罹患している人に対しては医療費助成が受けられるようになっています。




「全身性エリテマトーデス」知っていますか?

全身性エリテマトーデスは、通常であれば外から入ってきた細菌等に対して攻撃する役割を果たす抗体が、何らかの原因によって自分自身の組織を攻撃してしまう状態(自己抗体の産生)となり、その結果として様々な臓器障害を引き起こす病気です。



症状

皮膚症状(皮疹、日光過敏、紅斑)、腎臓障害、関節炎といった症状の他、心臓・神経・肺などあらゆる臓器に症状が見られうる病気です。



この病気の罹患者数

日本ではおよそ6〜10万人ほどの患者さんがいると推定されていますが、その多くが女性です(男女比 1:9)。



日常生活への影響

全身性エリテマトーデスの患者さんの場合は、どの臓器にどの程度の症状が出ているかによって日常生活の過ごし方が大きく変わってきます。



症状が軽度の場合にはほぼ問題なく日常の生活を送れる一方で、重症例ではステロイドや免疫抑制剤を長期にわたり内服していることもあり、そのような場合には感染症対策なども必要になります。



関連:全身性エリテマトーデス(SLE)の症状・原因・治療




「ベーチェット病」知っていますか?

 ベーチェット病は、口の中の潰瘍、陰部の潰瘍、皮膚症状、眼の症状の4つの症状を主体とする病気で、これら以外に関節、消化器、神経、血管等にも症状が見られる場合があります。



この病気の罹患者数

平成26年時点でおおよそ2万人ほどが罹患していると言われています。



治療法

 治療方法としては全身性エリテマトーデスと同様にステロイドの内服・外用が中心になりますが、症状によっては免疫抑制剤を用いることもあります。



関連:ベーチェット病の症状・原因・治療




「先天性ミオパチー」知っていますか?

先天性ミオパチーは、生まれながらに筋肉組織に異常があり、生後間もなくから筋力が弱い、歩行が始まらない、といった症状で発見されます。成人になってから発症する場合は力が入りにくい、疲れやすいと言った症状で見つかることもあります。



この病気の罹患者数

日本国内での正確な患者数はわかっていませんが、おおよそ1000〜3000名程度の患者さんがいると推定されています。



治療法

現在、先天性ミオパチーに対する治療方法はなく、筋力の低下や関節の変形等に対してはリハビリテーションや、装具を使っての訓練などが行われています。



関連:先天性ミオパチーの症状・原因・治療




希少・難治性疾患の方に私たちができること

希少・難治性疾患の方にできることを考える



希少・難病性疾患の患者さんは一見すると病気を抱えているように見えない方もいます。



症状が軽度であれば日常生活は特に問題なく送れている方もいますが、一方でステロイドや免疫抑制剤を内服していたり、ちょっとした感染症からすぐに重症化してしまうこともあります。



もし自分の周りで希少・難病性疾患の方がいる場合には、どのようなことに気をつければ良いか聞いてみるのも良いでしょう。



見えない障害を伝える「ヘルプマーク」

ヘルプマーク


(画像出典:ぱくたそ) 



皆さんは「ヘルプマーク」をご存知でしょうか?これは東京都から始まった取り組みで、希少・難治性疾患の方以外に妊娠中の方、障害を持っている方など援助や配慮を必要としている人たちがつけているマークです。



もし、このようなマークをつけている人を見かけた場合、電車・バスなどの公共交通機関内で席をゆずる、困っていそうな場合には声をかける、災害発生時には状況把握が困難な場合があるので助ける、といったことを心がけてみてください。




坂元先生から最後に一言

希少・難治性疾患と聞くと、皆さんにはあまり関係ない話と思うかもしれません。でも、平成28年度末時点で厚生労働省の指定難病の助成を受けている人の数はおよそ100万人に登り、その数は決して少ないものではありません。



希少・難治性疾患の方でも適切な医療とまわりの方のケアがあれば日常生活を送ることができ、周囲の理解でQOLを向上することができます。ぜひ、この機会に希少・難治性疾患について少しでも理解を深めてみてください。




編集部から|レアディジーズデイについて

アイス・バケツ・チャレンジで話題となったALS(筋萎縮性側索硬化症)のように啓発イベントから多くの人に知られるようになる希少・難治性疾患がある一方で、ほとんどの希少・難治性疾患は名前すら医療関係者と罹患者の身近な方にしか知られていないのが現状です。



希少・難治性疾患には、生まれつきのもので一生つきあっていく必要があるものもあれば、治療次第で日常生活を問題なく送ることのできるものもあります。



普段、私たちの耳にあまり入ってこないような名前の病気でも、その病気と闘っている人がいます。一見してわからないけれども、必死に病状を表に出さないようにしている人もいます。



レアディジーズデイを通じて、希少・難治性疾患そのものについての認知が広まることが、そうした人々の痛みを和らげ、罹患者の生活の質を向上させることにつながるのではないでしょうか。



東京をはじめ、全国各地でレアディジーズデイのイベントが開催されますので、ぜひ足を運んでみてください。



Rare Disease Day in Tokyo


全国各地のRare Disease Day


【監修:医師 坂元 晴香】
プロフィール)
2008年:医師免許取得。聖路加国際病院で初期・後期研修(内科)
2013年:聖路加国際病院一般内科及び臨床疫学センターにて勤務
2014年:ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程に留学

現在は、東京大学大学院博士課程在籍中。さくらクリニック 内科非常勤勤務を兼任
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