鈴木哲夫の政界インサイド「財務省文書の疑惑に浮上『省内リーク説』の背景」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

頭越しに何でも決めてしまう官邸に対して、省庁側が不満を抱いているわけです」

 安倍政権が掲げてきた1億総活躍、女性活躍、働き方改革、どれもが厚労省の所管。それだけに恨みも大きい。前出とは別の厚労省OBが話す。

「こちらが法案やデータを準備しても、最後は官邸がさらっていく。さらに安倍首相直轄の担当大臣に集約され、主旨の違う形でまとめられることも多々ある。『自分たちは下請けじゃない』という不満は、厚労省の現場に根強くあるのです」

 さらに、野党の質問も詳細にわたっている。そのため、バックに厚労省がいるとの疑念が強まり、データ捏造の省内リーク説が真実味を帯びている。前出・細田派議員が言う。

「官邸主導への不満分子を放っておけば、総裁選へ向けてリスク要因を増やすことになる。国会で野党の追及が続けば内閣支持率が下がる可能性が高い。リスクは徹底して摘んでおかねば‥‥」

 官邸による政治主導はあるべき姿だが、抑圧された官僚たちの抵抗が表面化しつつある。そんな中で飛び出した財務省の決裁文書の書き換え疑惑。内なる敵をどう抑えていくのか。

 安倍官邸は強さゆえの難題を抱え込んだようだ。

ジャーナリスト・鈴木哲夫(すずき・てつお):58年、福岡県生まれ。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経てフリーに。新著「戦争を知っている最後の政治家中曽根康弘の言葉」(ブックマン社)が絶賛発売中。

「鈴木哲夫の政界インサイド「財務省文書の疑惑に浮上『省内リーク説』の背景」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2018年 3/22号森友学園鈴木哲夫安倍晋三財務省社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧