陰謀論やトンデモ説はなぜ生まれるのか? 歴史研究者・呉座勇一さんに聞く(1) (4/4ページ)

新刊JP

自分が考えていた説に都合の良い記述があると、それを信じて鵜呑みにしてしまうことってよくありますよね。実はその部分がプロとアマを分かつ最も重要な部分であり、この本で強調している部分でもあるんです。

――信ぴょう性の話でいえば、あやふやな医療情報がネット検索のトップに来たり、専門外の医者ががんについての本を書いたりすることが問題になっています。書いた人はどんな人なのか、どの情報に基づいて書かれているのかまでちゃんと考えず、情報を鵜呑みにしてしまっている人も多そうです。

呉座:そこが最も重要なポイントですね。その史料がどのようにして成立したのか、いつ誰が何の目的でつくったのか、そこまで考えないと危ない。特に今のインターネットは玉石混淆で、さまざまな情報がありますし、検索上位にトンデモ情報がきたりするわけですよね。上にあるからといって信ぴょう性があるとは限りません。

私が大学で非常勤講師をしていたときは、この情報を精査する力を重要視していました。歴史研究の根本は、「史料批判」を含めて史料をどのように読むかということです。それはつまり、情報の取捨選択をするということであり、玉石混淆の史料の中から正確な情報を引き出すスキルが求められます。

これは、現代を生きる我々、特に社会人にとっては不可欠な能力ですよね。だから大学で教えるときも、このスキルを教えないといけないと思っていました。

――本書の終章「陰謀論はなぜ人気があるのか」を読んだときに、呉座さんはおそらくこの章を書くために、日本中世史の陰謀論をずっと検証してきたのではないかと思いました。

呉座:まさに終章が最も伝えたいことなのですが、そこだけだとお説教のようになってしまうので、実際にどう論破していくか実例を示していったわけです。
ただ、陰謀論だからといって最初から馬鹿にするのではなく、きちんと歴史学的に精査していく、冷静に信ぴょう性を評価していくことに努めました。どんな情報でもそういう態度で対峙すべきですしね。

(中編に続く)

■呉座勇一さんプロフィール

1980(昭和55)年、東京都に生まれる。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻は日本中世史。現在、国際日本文化研究センター助教。2014年『戦争の日本中世史』(新潮選書)で第12回角川財団学芸賞受賞。『応仁の乱』(中公新書)は47万部突破のベストセラーとなった。他著に『一揆の原理』(ちくま学芸文庫)、『日本中世の領主一揆』(思文閣出版)がある。

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