将来、「えらい人」はいなくなる? 今を生き抜くための哲学 (1/2ページ)

新刊JP

『今を生きるための「哲学的思考」』(日本実業出版社刊)
『今を生きるための「哲学的思考」』(日本実業出版社刊)

現代は激変の途上と言える時代だ。

たとえば、インターネットの登場は多くの人の人間関係のベースを変えた。人生の中でコンピュータやネットが途中から出現した世代と、生まれたときからそれらに触れてきた人間では、当然のように人間関係の構築や価値観が異なることは、多くの人が実感しているはずだ。

激変の渦の中にある時代を渡っていくためには、社会や人間というものを、一度、大きな枠組みでとらえ直さなければ、自分の生き方も見失ってしまうだろう。

そんな現代の人間や社会の本質を根本的に見直すヒントを与えてくれる一冊が『今を生きるための「哲学的思考」』(黒崎政男著、日本実業出版社刊)だ。

「哲学」と聞いて連想することは、「難しい」「実生活には役に立たない」といったところではないだろうか。
しかし、哲学とは当然のことや常識を疑って、「そもそも、それってどういうこと?」を考えることだ。その哲学的な思考で現代を見れば、今、何が起こっていて、どこに向かおうとしているのかがつかめるはずだ。

本書では、そんな「哲学的思考」で、肥大化するデジタルネットワークや発展著しいテクノロジーについて深く考察している。

■デジタル時代と「パノプティコン」

ジェレミ・ベンサムという18世紀のイギリスの哲学者がいる。彼は「パノプティコン」という罪人を一望監視できる理想的な監獄を構想した。360度を見渡せる中央塔があり、その周りに独房を監視するというものだ。

塔にいる人間は独房から見えない仕組みになっているので、実際にそこに人がいなくても罪人は「監視されているかもしれない」と意識するので、規律正しくなるというわけだ。20世紀のフランスの哲学者、ミシェル・フーコーは『監獄の誕生』でこのベンサムの構想を、社会のシステムとして管理、統制された環境になぞらえている。

この一連の思想や考察は、そのまま現在のデジタルネットワーク時代で実現化している。SNSの炎上などは、不特定多数の人間の監視によるものだ。

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