世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第266回 空気による緊縮財政と小国化 (2/3ページ)

週刊実話


 日本のデフレを継続させ、国民を貧困化している財務省の緊縮財政にしても、財務官僚は誰も「国の借金で破綻する」などと考えておらず、むしろ話は逆で、「緊縮財政をする」という結論がまず存在し、その結論に導くためのレトリック(国の借金、等)が次々に生み出されているのではないか。そして、なぜ財務省が「緊縮財政をする」という結論になるのかと言えば、「将来世代にツケを残す」「ギリシャみたいになる」ではなく、単なる「空気」に支配されているためなのではないか。
 その何よりの証拠に、緊縮財政に至るレトリックが頻繁に変わる。「緊縮財政が必要」という結論だけは変わらず、その理由やプロセスがひたすら変化するのである。さらに、緊縮財政強行の空気は、過去に財務省が緊縮財政を推進したこと、緊縮財政を推進した財務官僚が、事務次官に出世していったという「歴史」に根差すもので、ロジックによる裏付けがないのではなかろうか。

 2017年末時点で、国債所有に占める日本銀行の割合は43%。直近では、45%に迫っていると思われる。本連載でくどいほど繰り返しているが、日本銀行は日本政府の子会社である。日銀が国債を買い取った時点で、政府は「子会社からおカネを借りている」形になるため、実質的に返済負担がなくなる。親会社、子会社間のおカネの貸し借りは、連結決算で相殺だ。
 日本政府の国債(借金)が100%日本円建てで、日銀の国債買い取りで返済負担が実質的に消滅するわが国には、「財政問題」など存在しないのである。それにも関わらず、財務省は「国の借金で破綻する。緊縮財政が必要だ」なるキャンペーンを止めようとしない。なぜなのか。財務省内の財政に関するスタイルあるいは「空気」が緊縮財政至上主義に支配されているためだ。

 日本国を支配する財政破綻論、緊縮財政至上主義の根底にあるのは、単なる空気なのである。空気に支配された財務官僚がマスコミを動かし、政治家に「ご説明」に伺い、法律まで変えた。かつて大蔵省設置法において、大蔵省の任務は、財務や通貨、為替の管理、貨幣の印刷等の「業務」に限定されていた。
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