世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第266回 空気による緊縮財政と小国化 (1/3ページ)

週刊実話

 いわゆる森友問題には、ほとんど興味がなかった。森友学園が安倍総理もしくは総理夫人の口利きなり関与なりで、財務省から土地を安く購入した「証拠」があるならばともかく、いまだに証拠が出てこない。
 とはいえ、森友問題に関連し、財務省が行政文書を「改ざん」してしまったとなると、これは話が別だ。行政文書の改ざんは虚偽公文書作成罪に該当する。しかも、罰則は「1年以上10年以下の懲役」と、重い刑罰が下される刑法犯罪だ。

 なぜ、行政文書の改ざんがそれほどまでに深刻な問題なのか。理由は、国家権力とは実質的に「行政」そのものであるためである。行政と立法、司法の3つが互いにチェックし合うことで、国家権力は成り立つ。いわゆる「三権分立」を、読者のほとんどは信じていると思うが、現実は異なる。
 実は、国家権力とは行政そのもので、立法や司法は「行政をコントロールする」役割を担うにすぎないのだ。改めて考えてみると、日本国の国家権力、予算規模100兆円にも及ぶ行政を、「法律制定(立法)」と「司法判断(司法)」のみで完全にコントロールできるはずがない。三権のうち、圧倒的に権力が強いのが「行政」なのである。そして、行政は「文書」で動く。強大な権力を持つ行政を動かす文書を、勝手に改ざんできるとなると、何でもありの世界になってしまう。だからこそ、虚偽公文書作成罪は極めて重い刑罰(ほぼ殺人未遂と同じ)が科せられる「犯罪」とされているのだ。

 さて、3月27日、財務省による行政文書改ざん問題で、前理財局長である佐川宣寿氏の証人喚問が、衆参両院で行われた。佐川氏は、改ざんに際し、安倍総理、総理夫人、官房長官、官房副長官、総理秘書官、さらに麻生財務大臣、大臣秘書官からの指示はなかったと明言。
 一方、肝心要の、
 「なぜ、改ざんが行われたのか?」
 「だれが、どのように指示し、改ざんが行われたのか?」
 については、刑事訴追の恐れを理由に証言を拒否し、野党にとっては甚だしく納得がいかない喚問となった。とはいえ、筆者はある程度納得したのである。

 要するに、現在の日本は、財務省、いや財務省以外の行政や立法、司法を含め、国家権力が明確なロジックや意思決定のプロセスではなく、「空気」により動かされてしまっているのではないか、と。

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