やくみつるの「シネマ小言主義」 日本レスリング協会がよりによって「後援」 『ダンガル きっと、つよくなる』 (1/2ページ)
いやいやいや…今、この映画を封切っちゃいますか。
日本で大騒ぎになっている伊調馨選手VS栄和人監督&日本レスリング協会のゴタゴタは、もしかしたらこの映画のために、わざとやったプロモーションだったんじゃないかと思えるほどの、あまりのタイミング。もちろん偶然なのでしょうが、驚きを隠せないでおります。
インドの女子レスリング界の黎明期における実話をもとにしたというこの映画。自身が頼みとする監督VS国立スポーツアカデミーの強化部長との確執。そして主人公は2人姉妹。設定があまりに酷似しているじゃないですか。
「ラスト30分は涙が止まらない」とパンフレットにはありますが、今、現実に目が離せないでいる案件とあまりに重なっていますので、我々日本人は、泣いている場合ではありません。
この映画を見始めた当初は、姉妹を格闘家に育てる父親役、インドの名優、アーミル・カーンを栄監督と重ねていたのですが、途中で実はアーミルは協会側と相容れない役回りと分かり、アーミルは田名部力さんで、ナショナルチームの監督の方が栄さんだったかと、頭の中で配役チェンジ…って、完全に、勝手にかぶせて見ている自分を止められません。
この映画、実話と謳いながらも、父親が国際試合の観戦中に勝手に口頭指導できないよう、部屋に閉じ込めるという無茶なエピソードまで描いて、ナショナルチームからクレームが入ったらしいです。話を盛り上げるためならそこまでやってしまう破天荒なところも、インド映画らしいところ。
先日、この連載でご紹介した『バーフバリ 王の凱旋』が公開されるまで、インド映画の国内・全世界ともに興収トップに君臨していたほどの人気作になったそうです。
そして、ついに日本で公開するにあたり、パンフレットにもチラシにも、「後援:日本レスリング協会」と、小さい字ながら印刷されているのを私は見逃しておりません。この「後援」は、協会に逆風が吹きまくっている今、シャレにならない。
映画のモデルになった姉妹は、実際に伊調馨、吉田沙保里とも闘っているとかで、記録写真もパンフに載っていました。
こうなったら、大プロモーションを打ってはどうでしょう。