ロシアの「ターゲット」は本当にトランプだったのか 識者が語る「ロシア疑惑の闇」(2) (1/3ページ)

新刊JP

上智大学総合グローバル学部教授・前嶋和弘氏
上智大学総合グローバル学部教授・前嶋和弘氏

ドナルド・トランプは本当にロシアと結託して選挙戦が有利になるように仕向けたのか?
ロシアは何を目的に、アメリカの選挙に干渉したのか?

2016年、ドナルド・トランプが勝利した米大統領選の前後から、アメリカ国内でくすぶり続ける「ロシア疑惑」。21世紀最大のスキャンダルとなりうるこの疑惑に、イギリスのジャーナリスト、ルーク・ハーディングは著書『共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ』(高取芳彦、米津篤八、井上大剛訳、集英社刊)で鋭く切り込んだ。

トランプ陣営で選挙戦を戦った人物、そしてトランプ政権の人事で起用された人物がいかにロシアと深く関わり、利害関係を共有していたかを綿密な取材によって明らかにしたこの本を専門家はどう読んだのか。

本書に解説文を寄稿した上智大学総合グローバル学部教授の前嶋和弘氏にお話をうかがった。その後編をお届けする。(インタビュー・文/山田洋介)

■トランプが握られた弱みとは何だったのか 識者が語る「ロシア疑惑の闇」(1) を読む

■ロシアの米大統領選介入 その真の目的とは ――ロシアが米大統領選の選挙期間中に行ったとされているのは、「民主党の党中枢にサイバー攻撃を仕掛け、ヒラリー・クリントン氏のものをはじめとするメールデータを盗み出し、その評判を貶めるという一種の世論誘導です。ただ、サイバー攻撃というのは成功確率の高いものではありませんから、失敗した場合ロシアはどうしていたんだろうか、という疑問があります。

前嶋:まず理解しておくべきは、今回の選挙干渉でのロシアの目的は「トランプ氏を勝たせること」ではなく「ヒラリー氏を負けさせること」にあった点です。

そのうえで、今回急にロシアがサイバー攻撃を思い立ったならイチかバチかの感がありますが、実際にはロシアがアメリカ国内で普段からやっている情報戦略の一環と考えるのが自然だと思います。

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