うつ病の特効薬となるか?麻酔薬ケタミンにうつに対する即効効果があることが判明(米研究)

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うつ病の特効薬となるか?麻酔薬ケタミンにうつに対する即効効果があることが判明(米研究)
うつ病の特効薬となるか?麻酔薬ケタミンにうつに対する即効効果があることが判明(米研究)


 アリルシクロヘキシルアミン系の解離性麻酔薬であるケタミンは、日本では2007年より麻薬及び向精神薬取締法の麻薬に指定されている。

 薬物として位置付けられているケタミンだが、最新の研究によると、ケタミンを鼻腔用スプレーとして使用すると、最初の24時間でうつ症状に”有意な”改善が見られることが判明したそうだ。

・ケタミンの鼻腔用スプレーでうつ病に顕著な効果

 これまでもうつ病に対し効果があると言われていたケタミンだが、ジョンソン&ジョンソン社のヤンセン研究開発とイェール大学医学大学院からの報告によれば、製薬会社がケタミンをうつ病の治療薬として研究するのはこれが初めてだという。

 試験は、差し迫った自殺の危険性がある68人の患者を対象とした。患者全員を病院に入院させて、ケタミンを投与した。その半数は鼻腔用スプレーでエスケタミン(ケタミン分子の一部)が、残り半数にはプラセボが投与された。

 するとエスケタミンを投与されたグループでは、投与からの4週間でうつ症状にはるかに大きな改善が確認された。ただし25日目になると効果は落ち着いた。

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・ケタミンの即効性に注目

 研究チームは、重度のうつ状態にあり、差し迫った自殺の危険性がある人々に即効性のある治療薬となりうる可能性があると述べている。

 ほとんどの抗うつ剤の効果がきちんと発揮されるまでには4~6週間かかることを考えれば、初期段階の治療としても有効だろうと考えらえる。

 スプレーは製品化を目指して、現在、臨床試験のフェイズ3を実施中だ。専門家によると、これが特に重要である理由は、製薬会社によって実施されている研究であり、将来的に市販される可能性が高いからだ。


・乱用の危険性

 臨床試験において、エスケタミンの依存症や乱用に関する報告はない。しかしその可能性についてはさらに多くの研究が必要であり、今後の臨床試験ではこの点も調べるべきだと著者は警告する。

 乱用の危険があるのは、鼻腔用スプレーによって手軽に服用できるからだ。気軽に服用できることから、必要以上に薬を使ってしまう恐れがある。

 したがってイギリスの国民保険サービスで処方された場合は、重度のうつ病患者で、他の薬剤があまり効かない場合において、電気ショック療法の代替治療として使われるだろうという。

 イギリスではケタミンの経口や静脈注射による投与法も研究されてきた。しかし経口の場合、胃を通過するためにそれほどの効果が発揮されなかった。

 一方の静脈注射は効果があるが、鼻腔用スプレーはそれよりも若干緩やかに効くため、投薬量をコントロールしやすいというメリットがある。

References:.bbc/ written by hiroching / edited by parumo
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