テレ東「池の水ぜんぶ抜く大作戦」専門家が問題点を指摘

まいじつ

テレビ東京のバラエティー番組『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』の4月22日放送回で、小田原城(神奈川県小田原市)の堀の水が38年ぶりに抜かれたことが話題になった。

番組MCである田村淳は、別番組の収録で小田原城に訪れる機会があり、「お掘があまりきれいな色じゃなかったんで『抜かせてください、抜かせてください』と何度かお願いしてたんですよね」と水抜きを懇願していたという。撮影には江口洋介も参加し、「スッポンとか直接触れることのない生き物を実際、自分の手で捕まえるということは、普段なかなかできない事なので本当に貴重な体験でした。カメが多いのと、鯉がホントに多かったですね」とロケの様子を振り返っている。

この番組収録は小田原市でも大きな話題となり、撮影日の3月21日に参加できるボランティアも募集していた。ボランティアのなかにはダイバーも参加。水の抜かれたお堀のなかを歩きながらゴミ拾いをしていたという。だが、多くのボランティアには具体的な指示がなく、困惑した人も大勢いたという。

ロケで何が起きていたのか?

ロケ当日の証言をしたのは、川崎市で飼いきれなくなった観賞魚を引き取っているNPO法人『おさかなポストの会』代表の山崎充哲(やまさき・みつあき)氏だ。山崎氏は『タマゾン川』、『多摩川のおさかなポスト』といった著書を出しているほか、川魚や多摩川に関する取材も多数受けている専門家で、今回のボランティアにも参加したという。その模様をフェイスブックに投稿している。

ロケ当日の朝8時に到着した山崎氏は、小田原市が用意した駐車場に車を止めた。誘導も親切にスムーズに駐車できたという。その後、ボランティア参加の受付をして担当エリアを言い渡されるも、指示書もエリアも看板もない状態だったそうだ。カメラや演者さんがいるあたりに、ボロボロとボランティアや見物人が集まった感じで、何をしたらいいのかわからなかった様子だったという。

ほかにも山崎氏は数多くの指摘をしている。

《ボランティアさんや小田原市の関係者にも、ロケスケが渡されていない。》
《テレビ局や請負NPOは、ボランティアさんとはバラバラで作業をしている。》
《池に向かって芝生の斜面は濡れていて、とても滑りやすいのにもかかわらず、立ち入り制限がない等、安全管理が全くされていない。》
《水深がある場所でもライフジャケットの装着がない》
《魚捕りが目的ではないという市の発表にもかかわらず、ボランティアさんは大量のモツゴなどの在来種や外来種のナマズを捕りあさっていた。》
《請負NPOの魚の扱いが雑すぎて、いきものを扱う姿勢ではない。》
《事前の水質調査、魚類調査や生物調査がなされず、お堀の生態系の把握ができていない。》
《捕まえた魚の種類を調べる同定場所には、ボランティアで駆けつけた生き物をよく知る若いボランティアさんのみで対応。》
《小田原市から示されたスケジュールは、ロケの都合でことごとく無視されているようでした。》
《ロケが終わりバラシの段階になっても、ボランティアさんにねぎらいの言葉もなく、いつの間にか勝手に終わっていた。》
《午後まで残ってくれていた少しのボランティアさんと、テレビ局に雇われたと思われる人たちが、池底からゴミを拾い集めていた。》
《今回駆除したいきものは、オオクチバスが30匹程度と外来カメ3匹、カワリヌマエビ類が多数であった。》

そして、ボランティアに参加した感想として《生き物に配慮した作業には見えません、生き物が命をつなぐ水を捨てる、捕獲した生き物、残った生き物をどう扱うか、配慮が全くなされていないと思いました。》と綴った。また、小田原市には『神奈川県立生命の星・地球博物館』という施設があり、日本を代表する生き物の専門家がいるというが、今回のロケでは姿が見られなかったと述べている。

さらに、山崎氏は見学していた市民からブーイングが起きたことを記した上で《今回のロケを見た人たちは、小田原市へのマイナスイメージを持ってしまったのではないでしょうか。》と懸念を示した。

これからも番組を続けるのならば、避けては通れない指摘といえるだろう。

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