これからの季節に用心が必要! 血栓症のシグナルと死亡リスク (2/3ページ)
「ところが、動脈硬化や老化が進んだ血管は、こうしたシステムが上手く働きません。また、血液がよどむことで血栓ができることもあります。その代表が心房細動で、脳梗塞(脳塞栓)を引き起こしやすくする。心臓が震えるだけで血液を外に出せないからです」(心臓内科医)
血栓は、動脈だけではなく、血液が心臓へ流れ込む静脈にもできることがある。脚の静脈に血栓ができると血流が妨げられ、脚に血液が溜まる(深部静脈血栓症)。脚の静脈の血栓は、何らかの拍子に血管の壁から剥がれることがあり、その剥がれた血栓が血流に乗って心臓に運ばれ、さらに肺に入って血管を詰まらせることがある。これが肺梗塞症だ。
「米心臓学会によると、米国では5人に1人が深部静脈血栓症や肺梗塞症により死亡しているといいます。また、心臓の中でできた血栓が血液を通して脳へ運ばれ、脳動脈を詰まらせて脳梗塞を引き起こす心原性脳梗塞は、突如発症し、これにより麻痺や意識障害が起こって死に至る場合もあるのです」(同)
中でも60歳以上の人は血管がもろくなり血栓ができやすい状態にあり、前述の心房細動などの心疾患によって不整脈が起こると、血流がよどんで心臓内の血液が固まって、血栓ができやすくなる。
脳卒中などの研究を進める医学博士・内浦尚之氏は言う。
「若い人でも、コレステロールや中性脂肪の高い人は、血液の流れが悪くなります。そうなると血流によどみが起こり、血栓症につながります。血栓ができるのは、比較的動脈よりも静脈に多い傾向がある。飛行機内などで同じ姿勢で座っていると発生し、エコノミークラス症候群を引き起こす深部静脈血栓症などは、血液が心臓から吐き出される動脈よりも、心臓に戻る静脈の方がゆっくりしているから発症するのです。また、血液成分のほとんどが水分のため、暑い日に大量の汗をかいた後、利尿作用もあるビールや、度数の強い酒ばかり飲めば、血液が固まりやすい成分に変わってしまいます。これによって、突然、手や脚の動作が効かなくなることがあり、“一過性の脳梗塞”と言われている。