高額過ぎて買えなかった憧れの昭和「秘密基地」玩具
秘密基地…この言葉を聞くだけで思わずワクワクしてしまうのは私だけではないでしょう。
1961年生まれの私にとって“秘密基地”といえば、何といっても1966年にNHKで放送された英国製の特撮人形劇『サンダーバード』に出てくる秘密基地です。
孤島に浮かぶ基地にあるプールが二つに割れたり、岩の壁が動いたりして、中から巨大SFメカが出動するシーンが毎回の見せ場でした。
その人気は凄まじく、放送終了後もプラモデルがバンバン売れたため、プラモメーカー『今井科学』がスポンサーとなってTBSで再放送をしたほどです。
再放送当時に今井科学から『サンダーバード秘密基地』のプラモデルが発売され、これが欲しくてたまりませんでした。何がスゴイって、ボタンを押すだけで番組と同じ出動シーンが再現できる、モーター動力のギミックを搭載していたのです。
しかし、当時の少年向けプラモデルとしては最高峰のもので、お値段は仰天の2200円! 今の感覚だと2万円くらいでしょうか。とても子供のお小遣いでは買えるものではありませんでした。
たいていの子供たちが実際に買えたのは、50円くらいのこんなチープトイでした。
海に浮かぶ孤島には研究所のような建物とUFOとロボット。台紙絵はカッコいいですが、実際のおもちゃはこんなものです。
岩をズラすと中から基地が出てきたり、スプリング仕掛けで飛ぶロボットがついていますが、今井の『サンダーバード基地』とはあまりの格差。
もうひとつ。ウルトラマンとスペクトルマンの無版権ものチープトイです。
人気ヒーローと秘密基地が合体した、子供にはたまらないおもちゃ…のハズなんですが、これを「基地」と呼ぶにはあまりに無理があるでしょう。それに発射台に乗せられたヒーローの後ろ姿の何と哀愁味のあることか。
台紙に描かれた、ブルマをはいたようなウルトラマンの姿もあまりに不憫です。
やはり基地のおもちゃは思いっきりゴージャスの方がいいですね。
ちなみに『サンダーバード秘密基地』は大人になってから再販され、手の届くものとなりましたが、あえて買うことはしませんでした。子供のころ、頭の中で途方もなく大きく膨らんでしまったイメージが、作った途端に崩れてしまうのではないかと危惧したためです。今後もずっと“夢”にしておきたいと思います。
(写真・文/おおこしたかのぶ)