【オカルト業界の権威・山口敏太郎が語る“都市伝説”】アパートの隣人 (1/2ページ)

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【オカルト業界の権威・山口敏太郎が語る“都市伝説”】アパートの隣人

これはRくんの体験談として聞いたものである。

 1980年代の終わり、長野から出てきたばかりのRくんは横浜で一人暮らしをしていた。

 「よし、いつか有名になってやるぞ」

 Rくんは、初めての一人暮らしに夢を持っていた。昼間は学校に通い、夜はバイトに明け暮れた。

 「あの頃は、貧乏暇なしで寝る時間もなかったですよ」

 当時、彼の住むアパートは、「オンボロアパート」という言葉がぴったりの建物だった。築30年近く経った、6畳一間のアパートに彼は住んでいた。アパートはコンビニからも遠く、駅から自転車で10分もかかる立地の悪さゆえ、家賃はずいぶんと安かったという。

 「いや、でもあのアパートは何だか好きだったんです。妙に温かくてね」

 彼はそのアパートに何か温かみを感じていた。そして、それ以上にうれしかったのは、隣の部屋に住む女子大生が美人でとても親切だったのである。

 「こんにちは、なんだか雨が降りそうですね」

 「こっ、こんにちは」

 顔を合わせると必ずあいさつしてくれるし、付近のコインランドリーや、おいしい定食屋もいろいろ教えてくれたのだ。

 (こんな娘が彼女だったらいいな)

 Rくんは、いつしかその女子大生に恋をするようになっていた。そして、彼女のことを考えると胸が締め付けられて苦しくなるのである。

 (いつか、彼女に告白するぞ)

 そう心に誓うRくんであったが、その女子大生にも嫌なところがひとつだけあったという。

 それは彼女がよく、幽霊の話をすることだった。

 「このアパートには霊がいる」

 「霊のたたりで、1階で死んだ人がいる」

 「昨日金縛りに遭った」

 廊下や階段での立ち話でも、必ずこういう話をするのだ。

 (何で、この娘はこんな話ばっかりするのかな)

 元来臆病な彼は、そういう話を聞くのもだめ。彼女の幽霊話にだけは閉口していた。

 ある夜のこと。彼が寝ていると、何者かが布団の上に覆いかぶさった。

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