シダックスは事業売却 生き残りを賭けたカラオケ業界の試行錯誤 (1/2ページ)

週刊実話

 5月30日、カラオケや給食産業で知られるシダックスが、事実上、カラオケ事業から撤退することを発表した。同社は『カラオケ館』を運営するB&V社に、カラオケ事業の運営子会社であるシダックス・コミュニティー(SC)の持ち株81%を売却し、約97億円の債権も譲渡するという。
 「カラオケ人口はバブル期のピーク時には及ばないが、2011年の最低の状況からは回復し、今も増加傾向にあります。その背景には、若い世代の“一人カラオケ”や、シニア世代のカラオケ人気の根強さがある。そのため、運営する『ビッグエコー』が今年30周年を迎える業界トップの第一興商は売上高289億700万円、前年同期比6.7%増と過去最高で絶好調。同じく業界大手で『まねきねこ』を展開するコシダカHDも好調を維持している。そうした中、シダックスのカラオケ事業のみが一人負け状態だったのです」(業界関係者)

 シダックスのカラオケ店は、ピーク時に全国300店舗以上、約1万6000ルームを展開し、'07年度の売上高は629億円と、当時2位の第一興商を倍近く引き離していた。それが一転、'15年度決算ではカラオケ事業の不振で71億円もの最終赤字に転落。'16年4〜9月期も34億円の最終赤字を計上。カラオケ店を合計78店舗閉店するという苦境に立たされた。

 シダックスはもともと、'59年に大手企業の社員食堂を請け負い急成長。現在も社員食堂や病院食堂、学校給食などを主力事業に、近年は学童保育へも事業展開している。一方でシダックスといえば即、カラオケ店を連想するのは、全国の幹線道路沿いでの店舗展開を精力的に行ったためだ。
 「'91年にファミレスを改装してカラオケ事業に参入したシダックスの最大戦略は、大型でのサービス提供でした。当初は同社の和食レストランが不振だったことから、“レストランカラオケ”の形態を取り入れ、一店舗700坪以上の大きくて綺麗な“レストランカラオケ”“食事と酒が付いた身近なレジャー”がウケたのです。忘年会や新年会などでの一次会からの貸し切りが大流行し、急速に成長しました」(同)

 自信満々のシダックスは一方で、店舗契約も15〜20年という長期のものを主体にして、解約に大きな違約金が発生する内容となっていた。

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