<東京暮らし(1)>さようなら築地市場 (1/3ページ)
<文 中島早苗(東京新聞情報紙「暮らすめいと」編集長)>
今月から始めるこの連載。東京の名所、名物、グルメ、新しい動き、歴史を感じる古いもの、手軽に行ける近郊のおすすめスポットなど、東京暮らしをより楽しみ、魅力を再発見できるような情報を発信しますので、よろしくお願いします!
初回は、いよいよこの秋に豊洲に移転してしまう築地市場について。市場の成り立ちや、なぜ建物が扇形をしているのか(1984年までの鉄道輸送に合わせ、カーブを描く線路に沿った形だった)などの歴史的背景や、移転の理由は多くの文献、メディア、ネットでも情報が見られるので、ここでは割愛したい。
私が編集している情報紙「暮らすめいと」の発行元「東京新聞」本紙でも、「TOKYO発 築地を刻む 移転まで」という不定期連載を掲載しているので、興味がある方はそちらもどうぞ。
ここでは、間もなく失われる築地市場の楽しみ方や、個人的な思い出話など、もう少し気楽に(恐らく毎回そうなりそうだが)、「私見」を書かせてもらおうと思う。
混沌、ディープな「プロの仕事場」 移転が近づく築地市場(2018年6月、Jタウンネット撮影)築地市場(以下、築地)には「場内」と「場外」があり、一般の人も自由に買い物や食事ができるのは、場外の方。場内は本当の市場なので、早朝からセリが行われ、仲卸売り場では、プロの料理人や飲食店の仕入れ担当者が魚介類を買い求める光景が、毎朝繰り広げられる。
気軽に立ち入れるのは場外だが、こちらは豊洲移転後も残るし、いわゆる「築地市場」の姿を見られるのは場内の方だ。ただし、場内は基本的にはプロの仕事場。見学者用の通路などはなく、大した道案内もないので、初めて訪れた人は、戸惑ってしまうだろう。だいたい、どこまでが入ってよいエリアなのか、仲卸売り場はどこなのかも、素人にはよくわからない。