「コレジャナイ」昭和のモヤモヤする「合体ロボ」プラモデル (2/2ページ)
でも、駄玩具好きな私にとってはこの脱力感は“素晴らしい”と思います。とはいえ、このプラモの工作をリアルタイムに体験していないので、当時このシリーズを買ったことがある年下の友人に感想を聞いてみました。彼は「子供心に何だかモヤモヤしたのを覚えてる。でもいい思い出になっているんだよ」と申しておりました。
実はこの2つのプラモは、先にアオシマ文化教材社が大ヒットさせた『合体ロボット マッハバロン』の堂々たるパクリ。アオシマが試行錯誤の結果、生み出した“合体させて遊べるロボットプラモ”というコンセプトをそのままいただいちゃったものなのです。先行するカッコいいお手本がありながらも、それよりもダサく作ってしまうアリイの垢抜けなさは、大人になった私の目からは愛おしくもあります。
さて、アリイはこの後、1980年代のガンプラブーム時にパクリ商品『ザ☆アニメージ』シリーズを展開します。品薄だったガンプラを買えなかった子供たちが、飢餓感を埋めるために、一見似たアリイのプラモを購入するなどしたため、まんまと成功を収めます。子供にガンプラを頼まれた親が間違えて買ったこともあるのでしょう。このときの失望感が2001年に発売されて話題となった《コレジャナイロボ》の原動力になっています。いわば今回紹介したロボこそは《元祖コレジャナイロボ》だというわけですね。
アリイは1980年代にこんなプラモデルも発売しています。
https://myjitsu.jp/archives/20099
ボクらのホビー人生を彩ってくれたアリイが、もしも今もあったら、どんなプラモを作っていたんだろう…つい、感傷にひたってしまいます。
(写真・文/おおこしたかのぶ)