やくみつるの「シネマ小言主義」 伊丹監督「お葬式」のごとき、ドタバタ喜劇 『セラヴィ!』 (1/2ページ)
この映画は人生で最もおめでたい行事の一つ、ウエディングの舞台裏がテーマなのですが、そのコンセプトが奇しくも伊丹十三監督の『お葬式』と同一。言わば、その結婚式版です。
本来ならば式次第通りに粛々と行われるべきところですが、舞台裏では次々とハプニングが起こり、そのたびに様々な人間関係がもつれてややこしくなっていく。そんな話の構造はもちろんですが、こじゃれたユーモアの感覚がそっくりです。
映画の前半は、式の準備段階でのゴタゴタが続きます。会話の応酬がちょっと冗長に感じるかもしれませんが、式が始まってからのドタバタ劇の細かな伏線となっているので、それもぜひ味わっていただきたい。
17世紀の城を会場にするような豪華絢爛な結婚式は、フランスでも、なかなかないかもしれませんが、新郎新婦と招待客が朝まで踊り明かすなど、風習の違いや日本との共通点を見られるのも楽しいところです。
ま、さすがにこの映画のような3時間を超えるスピーチなんてないでしょうが。
自分も時々招待され、スピーチを頼まれたりもしますが、自分の話なんてのは「お口直し」と心得ておりますので、「あくまで軽く、サッサと終える」を身上としております。
海外の結婚式といえば、旅行先でたまたま居合わせ、珍しいので眺めていたら、あなた方もどうぞと招き入れてもらった経験が何度かあります。ボビー・オロゴンの出身地でもあるナイジェリアは、西アフリカでも有数の治安の悪い土地柄ですが、もちろん、国民みんなが物騒であるはずもありません。最初はちょっとビビリながら招き入れてもらったガーデンパーティーでは、普段は極彩色の衣装をまとっている女性たちが、真っ白のドレスで正装している様子などを見られて興味深かったですね。
さらに思うに、これまで我々が結婚式に参加しても、式を支えているウェイターやカメラマン、料理人の人格に思いを馳せることはまずありません。しかし、式場で働くそれぞれの人にも感情があるわけで、この映画を見た後は、「あの人たち、実のところどう思っているんだろう」とつい想像してしまいそうですね。
自分が出席して“ああ、いいお式だったな”としみじみ感じ入ったのは、ある女性タレントの結婚式でした。