スマートスピーカーで話題の「音声技術」 専門家が語る課題と“体験”の重要性(前編) (2/4ページ)
だから、体験設計からサービスやプロダクトのプロデュースをする人が必要だということで、音声UI/UXデザインというのを私が受け持っていました。
――当時、河野さんが認識していた音声インターフェースの「課題」とはどのようなものでしたか?河野:やはり「音声認識」にフォーカスされがちだったということですね。例えば音声で指示をしてテレビがつけば「すごい!」となる。だけれども、手元のリモコンの電源ボタンを押せばテレビはつくわけですから、結局慣れている方に行きますよね。
UX(ユーザーエクスペリエンス/顧客体験)とはそういうもので、実際に使ってもらうには、体験的なデザインが必要です。音声の場合、体験よりも技術が先行していたこともあり、体験が追いつかずにいくら良い技術もちゃんと活かすことができていなかった。これがブレイクしない原因でもありました。
だから、UXデザインについてしっかり考えないと、また技術先行のサービスやプロダクトができてしまい、同じ轍を繰り返してしまうのではないか…。そういう思いがありましたね。
――サービス側からのアプローチということで、技術開発者と意見がぶつかることも多いのではないですか?河野:それはありますね。こういう体験を創り出すことがベストだということを伝えないといけませんから。
例えば、スマートスピーカーやスマホに「アレクサ!」とか「Siri!」と呼びかけるってハードル高くないですか? 恥ずかしいと思う人もいるでしょう。だからそういう呼びかけがなくなるのは私としてはベストだとは思います。ただ、呼びかけをなくしてしまうと、自分が発した声以外に勝手にシステムが反応して、予期せぬ動作が起こるかもしれない。そういうせめぎ合いもあります。
私はソニー時代、技術者の皆さんに「技術を洗練してください」と伝えていました。一方で、私は「ユーザーにとってこれが良い」という優先度付けをして、もし技術ではなくUXデザインでごまかせるところがあれば、その方法を取ったりもしていました。
――「ごまかす」というのは?河野:音声の面白さはやはりコミュニケーションです。