スマートスピーカーで話題の「音声技術」 専門家が語る課題と“体験”の重要性(前編) (3/4ページ)

新刊JP

だから、エンジニアリングで不足している部分をコミュニケーションで逃げることができるんですね。

例えば、ユーザーの好みの季節を知りたいときに、「好きな季節はなんですか?」と聞くと確実に失敗します。季節って春夏秋冬以外にもたくさんありますよね。「初夏」「秋と冬の間」とか。ほかに「春と夏」と2つ答える人もいます。

――答えは確かに4つではないですね。

河野:そうです。だからその返答に対する応答のシナリオをたくさん作らないといけません。そうすると、システムがすごく複雑化するんですね。ならば、シンプルに「春夏秋冬どれが一番好きですか?」と聞く。こうすればシナリオは4つの選択肢プラス1つで終わります。「プラス1」というのはたとえば「4つのうちで答えて下さい」という例外処理対応です。

聞き方は変わるけれど、ユーザーは嫌な気持ちにならないでしょう。つまり、システムの都合がいいように答えを誘導することも、UXデザインのキモなのです。

――それらの応答や質問はシナリオライターが書いているわけですか。

河野:はい、大半はそうです。ただ、やはり(シナリオ作りは)難しいですから、音声UXデザイン特化のシナリオライターが出てくるかもしれませんね。

シナリオ作りに向いている人は声優、役者や脚本家です。彼らは自分の言い方によって反応を変える術を知っています。「こういう言い方をすると突っ込まれやすくなる」というテクニックですね。コミュニケーションを作って見せている人たちはテクニックを持っていますから、それを応用することができます。

やってしまいがちな良くないコミュニケーションの代表例は「オープンクエッション」です。「何でもお申し付けください」って言われても、「何を話せばいいんだろう」「こんなこと言ったら大丈夫かな」と困ってしまう。

――それが山積みとなっている課題の一つですね。他に課題をあげるとすると?

河野:例えば音声を処理して返答を考えているときの微妙な「間」もユーザーを不安にさせてしまう課題の一つです。こっちから話しかけていいのかなという「間」に、人間は不安を覚えてしまうんです。

――コミュニケーションを前提で考えていると、すぐにレスポンスがないと不安になりますよね。
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