報道問題・テレビ番組の「ぼかし」が昔と比べて増えた事情

まいじつ

(C) Ryuji / PIXTA(ピクスタ)
(C) Ryuji / PIXTA(ピクスタ)

テレビ番組を見ているとき、通行人の顔に“ぼかし”が入れられていることが多くなった。街などを散策する番組で通行人がぼかされているのも今では見慣れたシーンだ。

判断基準は番組ごとに異なるようだが、バラエティー番組や情報番組は特に多用されている傾向が見て取れる。映り込んだ人からクレームが来るのを避けるためにやっているのだろう。

また報道番組では、事件の容疑者の自宅周辺を放送する際には必ず映像が加工されている。これは近隣住民にとっての資産価値が落ちるリスクへの配慮だ。

「よくある街の風景を映すにしても、リスクがゼロではありません。例えば、東京の新橋で早朝出社時のサラリーマンを撮る場合、テレビ局のロゴの入ったカメラを向けて堂々と撮るのが基本です。こうして撮られた映像は番組で使ってもいいという暗黙の了解が、撮る方、撮られる方の双方にあります。ただ、微妙なケースもあります。暑い夏の日に汗をダラダラ流してひどい形相になっている人や、前日にあまり寝ていないのか、早朝からあくびを連発している人のアップはよろしくないというようなケースです」(テレビディレクター)

リスクを回避するためには有効な手段だが…

映像をキャプチャーされて、インターネット上で、あることないこと書き立てられてしまう悪い事例も現実に起きている。また、違法行為やマナー違反に当たる場合も、モザイク処理されることが多い。たばこのポイ捨てや禁煙場所での喫煙、自転車の二人乗りなどは映像が出ることで処罰されたり、指弾を受けたりするリスクがあるからだ。

「ただし、過度に最初からリスクを避けようとモザイクを多用する手法はいかがなものでしょう。クレームが来ても『あなたを撮ったわけではなく映り込んだだけです。撮影者の所属はハッキリ示しているし、名刺も渡したはずです』と答えればいいのです。リアリティーとクレームのせめぎ合いが番組の制作現場には常にあるのですから」(同・ディレクター)

昨今は“忖度”という言葉が独り歩きする傾向になっている。バランスは難しいが、配慮が過多になりすぎてはいないだろうか。

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Ryuji / PIXTA(ピクスタ)

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