疑似的な恋愛ゲーム感覚の和歌の応酬。枕草子のやりとりを探る:藤原行成 編2 (2/3ページ)
さあ、ここからが有名な「逢坂の関」の歌のやりとりです。
清少納言、すかさず「史記」の故事を引用して返事清少納言は次のように返事をします。
「いと夜深くはべりける鳥の声は、孟嘗君のにや」
「枕草子」(校注・訳:松尾聰・永井和子「新編日本古典文学全集」/小学館より)
孟嘗君とは「史記」の列伝に登場する人物で、夜明け前にどうにか関を開門させようと、鶏の鳴きまねをした人のこと。清少納言がいいたいのは、「あんな夜深くに鳴く鶏って、孟嘗君のそれのこと?」つまり「あなたを急き立てたのは偽物なのかしら?」ということ。
これに行成は、
「『孟嘗君の鶏は函谷関をひらきて、三千の客わづかに去れり』とあれども、これは逢坂の関なり」
「枕草子」(校注・訳:松尾聰・永井和子「新編日本古典文学全集」/小学館より)
と返します。「孟嘗君の鶏は函谷関を開いて三千人が逃げ去ったと本にあるけれど、私が言いたいのは逢坂の関(つまりあなたと逢った夜)のことですよ」という内容。ちょっと話が男女のきわどいやりとりになってきました。
ここからの二人の和歌のやりとりは、以下のとおり。
