やくみつるの「シネマ小言主義」 独裁者没後の、笑える跡目争い 『スターリンの葬送狂騒曲』 (1/2ページ)
ソ連時代の独裁者、スターリン死後の権力争奪戦を描いたイギリス映画です。
イギリス人というのは、ドイツやロシアをおちょくらせたら、まぁ、右に出るものはいないでしょうね。
俳優陣はと見れば、往年の政治風刺コメディーユニット『モンティ・パイソン』のメンバーだった人や、シェイクスピア俳優など、クセのある芸達者ばかり。彼らが大真面目に演じれば演じるほど滑稽で笑えます。
惜しむらくは、スターリン役を、今は亡き岡田真澄に演らせてあげられたらソックリだったのに…と残念に思った次第。
さて、20年もの間、「粛清」として大量虐殺を続けた結果、有能な医者はスターリンの毒殺を企てた罪で獄中で死刑になっていました。
だから、いざ最高権力者が脳出血で意識を失っても、失禁したまま半日も放っておかれ、やっと集めた医者たちは使えなさそうなヤブ医者ばかり。スターリンが危篤だと聞いた側近たちは、心配するどころか、我こそは後釜にならんと色めき立って出し抜き合い、イス取りゲームを始める…。
そんな絶対権力に取り憑かれたオッサンたちの「実話」に基づいたエピソードを描いて、痛烈に皮肉っているのですから、そりゃあプーチン政権の現ロシアなら、国内上映禁止になるでしょう。これまでナチス政権時代のことを、しつこいほどに繰り返し「悪し様」に描かれても、それもよしとしているドイツとは違います。
とはいえ、たとえば今の自民党で「魔の三期生」と呼ばれている若手議員たちが次々と恥ずかしい事件を起こしている様子などを、もし、お隣の韓国や中国に面白おかしく映画にされたら、我々、日本人はおそらく静観できないでしょうから、ロシアの対応はとやかく言えませんね。
ロシアといえば、シベリアに、しかも気温がマイナス57.5℃の2月、その厳しさを味わうためだけに行ったことがあります。
戸外は南極探検のような装備で出掛けますが、室内は暖房が効きすぎていてTシャツ1枚。暑くて眠ることができず、うっすら窓を開けて外気を入れたことを覚えています。
今年のW杯はロシアが開催地ということもあり、競技場のある地名に注目していました。というのも、地図オタクだった小学生の自分が覚えたソ連時代の地名とは様変わりしているからです。