もう少し褒めて…。紀貫之が選んだ代表的歌人「六歌仙」、実は結構な勢いでディスられてる (3/4ページ)

Japaaan

「古今和歌集」(校注・訳:小沢正夫・松田成穂「新編日本古典文学全集」/小学館より)

「言葉がひかえめで、歌の始めと終わりがはっきりしない。言うなれば、秋の月を見ていたら暁の雲に覆われてしまったかのよう。(中略)彼の歌は多くないから、あれこれ参照できなくてよくわからない」と評価。

喜撰法師に至ってはほめている要素も感じられません。そして極め付きは最後の「よくわからない」という言葉。なぜよくわからない歌人なのに優れた歌詠みとわかったのでしょうか。

小野小町は、

小野小町は、古の衣通姫の流なり。あはれなるやうにて、つよからず。いはば、よき女のなやめるところあるに似たり。つよからぬは女の歌なればなるべし。

「古今和歌集」(校注・訳:小沢正夫・松田成穂「新編日本古典文学全集」/小学館より)

「昔の衣通姫の系統。しみじみ心にしみるけど、強さがない。言うなれば高貴な女性が病気で苦しんでいるさまに似てる。ただ強くないのは女性だからだろう」という評価。女性の歌だから強くないという評価はちょっと……とこじつけ感も否めませんね。

大友黒主は、

大友黒主は、そのさまいやし。いはば、薪負へる山人の花の蔭に休めるがごとし。

「古今和歌集」(校注・訳:小沢正夫・松田成穂「新編日本古典文学全集」/小学館より)

「歌のさまはよくない。言うなれば、薪を背負った山人が花の蔭に休んでいるような感じ」という評価。こちらもとくにほめられている要素はありません。

それでも真の歌のあり方を知っている

ほめているんだかいないんだか、貶している部分のほうが多い評価でしたが、それでも貫之は最後に、

このほかの人々、その名聞ゆる、野辺に生ふる葛の這ひひろごり、林に繁き木の葉のごとくに多かれど、歌とのみ思ひて、そのさま知らぬなるべし。

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