野生のキツネを犬のような従順なペットにするための交配実験から明らかとなった家畜化遺伝子(ロシア研究) (4/5ページ)

従順になったキツネimage credit:Kingston Photography for the JAB Canid Education and Conservation Center
この仮説を検証するために、およそ1600匹のキツネが人間の観察者に反応する態様を観察し、それをそれぞれが持つSorCS1の種類と比較した。
その結果、キツネの従順さや攻撃性が多少なりともSorCS1の種類と関係していることが明らかになった。従順なキツネが持つSorCS1の種類は攻撃的なキツネには見られないもので、その逆も当てはまった。
・ただし他にも関与する要因がある
この結果は60年近くも続くプロジェクトの素晴らしい一里塚である。だが、これをもって犬の飼いやすさを決める遺伝子や遺伝領域の証拠が全て得られたと考えるべきではない。
「数々の遺伝子が複雑に絡み合っています」とチャン教授は話す。
たとえば、グループ間で異なっているある遺伝領域は、ウィリアムズ症候群というやさしくて陽気でフレンドリーな性格を特徴とする人間の障害と関係がある。
ゆえに従順なグループにこの遺伝領域が見られるはずと予測するかもしれないが、じつは攻撃的なグループに見られるものだ。
一方、ウィリアムズ症候群の人は非常に強い不安を経験することもある。キツネにおいては、こうした不安が人間への恐怖を焚きつけ、それが攻撃的な反応につながっていると思われる。