「子どもに会わせてもらえない!」と嘆く父親が急増している事情

まいじつ

(C)4 PM production / Shutterstock
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厚生労働省の離婚件数の年次推移「年齢階級別離婚率」を見ると、夫婦の同居をやめたときの年齢別離婚率では、男性・女性ともに30歳~34歳の離婚率が最も高い。現在の平均初婚年齢が28歳~30歳くらいということから考えると、結婚してから5年以内に離婚する夫婦が多いといえる。

そんな比較的若いカップルの離婚で問題になるのが、「面会交流」だ。子どもと別れて暮らしている親が1年間に全国の家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てた件数は1万2264件。10年前の2.4倍に増えており、父親からの申し立てが急増している。

昨年離婚したという36歳の会社員、竹村光男さん(仮名)は切実な思いを訴える。

「4歳の一人娘は元妻と暮らしており、親権も元妻にあります。離婚原因が私の浮気ですから、私に非があるのは承知しており、反省もしています。でも、私には娘と会う権利はあるはずです。離婚のとき、娘に会わせるという約束でしたが、何かと理由を付けて断られます。元妻は私を汚らわしいと思っているみたいですが、DVではないので、面会拒絶される理由はありません。娘に会いたいです」

離婚問題に詳しい弁護士がこう答える。

「離婚後または別居中に、子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行う権利は、以前から判例上認められていましたが、平成24年の民法改正により民法766条に明記されました。面会交流の頻度や条件などについては、話し合いで決めるのが原則ですが、話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停は、調停委員会(裁判官と民間から選ばれた調停委員で構成)が公平中立な立場で双方から話を聞いて、解決のサポートを行う手続きですが、それでも合意に至らなければ調停不成立で終了です。調停が成立しないときは、審判へ移行されます」

一番の被害者は子供ということを忘れずに

竹村さんには、元妻がどう言おうと、子どもに会う権利がある。調停不成立で審判に移った場合、面会交流の頻度や条件などが決定される。その決定において、間接強制が定められることもある。間接強制とは、債務を履行しない義務者に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを決定することで、義務者に心理的圧迫を加え、自発的な支払いを促すものだ。

面会交流の審判においては、決定通りに面会交流を実施しない親に対して、1回につき数万円の間接強制金の支払いが命ぜられることがある。元妻に対する罰金のようなものだ。

「なお、面会交流を拒絶することに正当な事由がある場合には、面会交流を拒絶することができます。正当な事由の例としては、子どもや親権者または監護権者に暴力を振るったり、その他の悪影響を及ぼす恐れがあるような場合です。また、明らかに子どもが面会交流を望んでいない場合にも正当な事由ありとされることが多いでしょう」(前出の弁護士)

ただ、竹村さんのケースもそうだが、幼い子どもの場合、母親が勝手に「子どもは会いたがっていない」と言って妨害する余地もある。

「家庭裁判所に申し立てると、調査官が子どもに会って子どもの意向を聞いてくれるのですが、子どもは一緒に住んでいる親の感情や意見に影響されやすいので、そこでも子どもに『会いたくない』と言われてしまうこともあるでしょう。そうなると面会交流の実現が非常に難しくなってしまいます」(前出の弁護士)

この問題の背景には、男性の育児参加の広がりがあると指摘する専門家もいる。子育てに積極的に関わる父親が多くなったのは喜ばしいことだ。

しかし、父親と母親の対立が広がる中で、母親が子どもを連れて家を出て所在が分からなくなったり、父親が子どもを無断で連れ戻したりするトラブルも相次いでいる。本当の被害者は子どもであることを忘れてはいけない。

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