桑田真澄「甲子園のレジェンド」が見つめる高校野球の未来 (2/3ページ)
「僕はアマチュア野球界に“人材育成主義”を持ち込まなければ、日本野球の未来はないと考えています。なぜなら、アマチュア野球こそ、日本野球のトップであるプロ野球に人材を輩出する供給源だからです。今、日本で人気があるスポーツは、代表チームやトップアスリートが世界で活躍している競技です。ところが、野球は代表チームが金メダルから遠ざかっているうえに、少子化の影響もあって競技人口の減少に直面しています。そんな状況で、代表チームの強化とトップアスリートの競技力向上を実現するには、故障や燃え尽き症候群が原因で、将来有望な金の卵たちが若くして選手生活を終えないようにする努力が必要です。甲子園や地方大会の熱戦が、多くの人たちの注目を集めるのは素晴らしいことです。しかし、高校野球で連投を強いて、肩や肘の故障を誘発させておきながら、代表チームの世界一を期待するのは矛盾した考え方なんです」
■WBCのピッチャー球数制限のように効果的な選択肢を
「選手の故障予防については、どの連盟も具体的な取り組みを始めています。そうした姿勢は評価すべきだと思いますが、さらに一歩前に進むには、各連盟が“人材育成主義”という共通の理念のもとで一つにまとまることが必要です。たとえば、世界中のトッププレーヤーが出場するWBC(ワールドベースボールクラシック)では、ピッチャーに厳密な球数制限が課せられています。大会終了後、すぐにレギュラーシーズンが始まるからです。しかし高校野球では、球児の将来があるにもかかわらず、投手の連投が当たり前になっています。2018年から公式試合にタイブレーク(走者を置いた状態から攻撃を始め、試合の決着をつけやすくする制度)が導入されていますが、選手たちの体調を最優先に考えれば、球数制限のように、より効果的な選択肢があったのではないでしょうか」
若い野球選手の将来は、指導者たちが守る――。桑田氏が提言する「人材育成主義」を実践するためには、いったい、どんなことが必要なのだろうか。
「僕は社会で活躍できる人材を育成することが、今の時代に即した指導理念であると考えています。それはまず“練習の質の重視”、スポーツ医科学の成果を活用して合理的な練習方法を追求すること。