この映画がすごい:ロマン優光連載116 (2/4ページ)

ブッチNEWS

 それはさておき、なんだかんだいっても見る人の興味の大半は正式な記録映像に乏しいハードコア・パンク勢のライヴやインタビューにあるのは間違いないわけで、自分もやっぱり普通に興奮して見ちゃいました。
  '83年の寿町フリーコンサートでの映像。ラフィン・ノーズをバックに『ゲット・ザ・グローリー』を歌う横山さんという名シーンは多くの人の心を掴んで離さないわけです。
 個人的にはモホークスのライヴが綺麗な画質で見れたことに感動。ボーカルが後にLAST BOMBのボーカルになるLoonyさんでドラムがWantanさんというバウズな面子なので、モホークスがモブスとバウズに分裂する過渡期なのだと思われますが、Loonyさんの佇まいの不良っぽさがとにかくかっこいいです。バウズは曲が楽しそうでもボーカルの声が怖いのですが、ここでもドスが効いてて最高。YouTubeにこの日のライヴを別のカメラでとった映像があがっているのですが、後にモブスのレパートリーとなった曲とバウズのレパートリーになった曲の双方を演奏しているのが確認できます。『ハードコア不法集会』もまだ発売されてない時代なんですよね、この頃。
 あと、別カメラの映像で確認できるもめ事を、映像としてはインパクトのあるものになったはずなのに、あえて編集でカットしてナレーションで軽く触れるという手法をとっていることに、監督の作家性と繊細さを感じました。
 山崎春美のタコにインスパイアされてG.I.S.M.を始めたというランディさんの発言に驚いたり、ランディさんの自分のバンドやシーンに対する認識の冷静さに、「この人はこういう考え方をする人だったのか……。」と思わされたり、ランディさんのインタビューも惹き付けられるものがありますよね。
 あんま、こういうトーンでざっくばらんに書いてると、なんか飲みながら友達と話してるみたいになってくるので、少し切り替えますね。

 この映画を見た人の中には、あまりに青いバンドたちの刹那すぎる瞬間が切り取られている姿に「パンクの意義の終焉」とか「破壊・暴力の先には何があるのか」みたいなことをかってに語りだす人もいるだろうが、それは違うような気がする。我々は映画の中の本人たちが知らなかった未来を知っている。

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