賛否両論『半分、青い。』の“神回”こそ、朝ドラの真髄だった (2/2ページ)

日刊大衆

これを受けて律も「ぼくは和子さんの子どもで幸せだった」と、今まで言えなかった、母への正直な思いを懸命に語り始める。

 とにかく佐藤健の涙ながらの演技が素晴らしかった。病床の母に何もできないもどかしさ、切ない想いを吐露したこの回は、北川悦吏子氏の宣言通り、なるほど神回だった。

 この日の放送では「あなたの息子で本当に本当によかった、大好きだ」など律が名言を連発。それまで律は「和子さん」と呼んできたのに、ついに「お母さん」と呼びかけたところもグッときた。回想シーンはまったくなかったが、律の小さい頃や、そんな律を心配していた若き和子さんを勝手に脳内再生し、思わず涙した。そういえば『半分、青い。』ではこれまでもたびたび、親子のやりとりにホロっとさせられてきた。

■『半分、青い。』は正統派の朝ドラ!?

 まず第28話。晴(松雪泰子/45)が鈴愛の上京を許したものの、娘と離れて暮らすことに気持ちの整理がつかないという場面は、前半のハイライトだった。「母ちゃんの中には三つのあんたも、五つのあんたも、十三歳のあんたも全部いる」と泣きじゃくり、お茶の間の涙を誘った。

 律と和子、そしてこの鈴愛と晴と、家族のシーンに感動してしまうのは、視聴者が主人公を子ども時代から見守るという、朝ドラ独特の構造のおかげといえる。『半分、青い。』は子ども時代がていねいに描かれたが、それこそ昔から続く正統派朝ドラのありかたなのだ。展開が早い現代劇で、トレンディドラマで有名な脚本家の作品ということから賛否両論が飛び交っているが、『半分、青い。』は、心温まるホームドラマという朝ドラの役割を十分に果たしているのではないだろうか。批判的な意見の人にこそ、この作品が実に朝ドラらしい朝ドラなのだと、訴えておきたい。

 残りの放送期間は1か月ほどとなったが、鈴愛と律の関係だけでなく、朝ドラの醍醐味である「家族のシーン」も要注目だ。神回の連発を期待したい。(朝ドラ批評家・半澤則吉)

※画像はNHK『半分、青い。』番組公式ホームページより

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