『検察側の罪人』評:木村拓哉は「カッコつけるのやめたら死んじゃう病」だった! (2/2ページ)

日刊大衆

ぼくと同じような期待をしたのか、意外とアイドルファンとおぼしき女性客は少なく、40~50代のオッサンの一人客が多い印象です。

■どこまでもスタイリッシュな木村拓哉の演技

 で、実際に映画を観てみると、確かにキムタクは、これまでにない役を重厚に演じていました。暗い色のスーツに黒く染め直した短髪の、まともな勤め人風の出で立ちです。

 キムタクも、ようやく実年齢の40代半ばのオッサンに近づいてきたのか……と、感慨深く思ったのは最初の10分くらいだけ。残りの上映時間、木村くんが演じるキャラクターは、何をするにしてもとにかくスタイリッシュだったのには驚きました。

 これから映画をご覧になる人も多いので物語の核心には触れませんが、学生時代からの友人と飲みに行くのは、座っただけで数万円は取られそうな高級店。妻と大学生の娘と3人で暮らすのは、夜景の見えるイカした高層マンションで、趣味の良い調度品に囲まれた寝室で目覚めた後は、フルーツをナイフで切って食ったりして、なんだかオシャレなCMみたいな生活でした。

 休日はタイトなサイクルウエアに身を包み、ロードバイクでお寺に行って座禅を組んだりするのも、なんだか「想定内の意外性」といいますか、とことんカッコいい。40代の働き盛りというにはあまりにも貫禄や生活感がなさすぎて、やっぱり仕事ができる感じがしないのなんか、もうどうでもよくなっちゃいます。

 これはきっと、「カッコつけるのヤメたら死んじゃう病」を患ってんじゃないですかね。野村克也元監督の座右の銘は「生涯一捕手」でしたが、木村くんは「生涯一キムタク」で行くんでしょう。なかなかの茨の道ですが、もうこちらも「ちょ待てよ」なんて言いません。これからもブレることなくカッコよさを追い続けていただきたい。

■木村との共演で二宮和也は得をした?

 そんな木村くんのおかげで、得してるのが共演の二宮和也くん。築40年はたってそうな鉄筋のアパートに住んで、吉高さんと蒲田あたりの小汚い立ち飲み屋でデートするような庶民派キャラなのが、非常に際立って親近感を持ちました。思うに、二宮くんの演技の評判が大層いいのは、木村くんと違い、「スターなのに下駄を脱いで一般人のところまで降りて来られるから」かもしれません。

 あ、映画自体は、いろいろ詰め込みすぎて整理されていない部分もありましたが、若い子よりむしろ、オヤジ世代が楽しめる内容だというのを、最後に申し添えておきます。

作品評価………………………★★★☆☆
キムタクのオシャレ度………★★★★★
オッサンへのおすすめ度……★★★★☆

「『検察側の罪人』評:木村拓哉は「カッコつけるのやめたら死んじゃう病」だった!」のページです。デイリーニュースオンラインは、二宮和也木村拓哉映画エンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る