「アマゾンへの取材はもうやめます」…その言葉の意味とは? 話題のノンフィクション『ノモレ』について聞く(下) (2/4ページ)

新刊JP

――何か具体的なシーンを撮ろう、というような目的があったわけではなく。

国分:撮りたいと思うことが起こるのを待つんです。彼らの本質が何に宿るかをちゃんと見て、その本質を撮るためには狩りにも同行する。狩りの同行ってすごくしんどいんですけど、全部やる。ただ、50代となった今はもうそういうスタイルで取材はできませんね。『ヤノマミ』のときは40代前半で、年齢的にギリギリだったと思います。

――年齢的にギリギリというと?

国分:フィジカルも大切だけど、それよりも免疫力です。僕はあまり(免疫力が)ない方なんですけど、それでもあと5年早ければ(取材は)もっと楽だったと思いますよ。

ダニとか蚊にいっぱい食われて、痒いから掻いちゃう。そうするとことごく化膿するんです。手を洗う場所が雑菌だらけの川くらいしかないから、免疫力が弱いと負けちゃう。化膿が進むと大変なことになるから、一度保健所まで戻って消毒して乾かして、また取材に行く。免疫力が強い人はかさぶたになって終わるんですけどね。

――若ければ若いほど免疫力がある。

国分:普通はそうですよね。転んで擦りむいたくらいだから平気と思っていたら化膿しちゃったりして。だからもうアマゾンの取材はやめます。

――では、今後ディレクターとして挑みたいテーマはありますか?

国分:殺人者を取り上げたい。刑務所を出ちゃった人ではなく、今、獄中にいる人。だから無理なんですけどね。人を殺したことがある人間に関心があるんです。知り合いの中では一人しかいないんですけど、それは先住民で、話を聞きたいけれど言葉が通じないから聞けない。

――必然的に日本語を話せる人になりますね。

国分:そうですね。日本人じゃないとダイレクトにコミュニケーションできないから。そうなると取材はできない。それに殺人者に取材をした『殺人者たちの午後』(飛鳥新社刊、後に新潮文庫)というイギリスの本がすでにあるんですよ。それには勝てないな。

■ドン川のほとりで『静かなドン』を読む ――普段、国分さんはどのような本を読まれるのですか?

国分:小説が好きですね。取材を一緒にした沢木さんの本は思春期の頃から読んでいますけど、この頃は小説の方をよく読みます。

「「アマゾンへの取材はもうやめます」…その言葉の意味とは? 話題のノンフィクション『ノモレ』について聞く(下)」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る