手描きなのに驚くほど精巧。医療画家が描いた病理学イラスト(医療画注意) (1/2ページ)
どんな分野にも専門家がいるものだが、医学・医療関係者の間では超有名なアーティストが存在するようだ。
それはアメリカ・マンハッタン出身の医療画家、フランク・ネッター(1906~1991年)である。
元外科医である彼が描いた精巧で美しく解剖学的に正確なイラストは世界各国で長く支持されており、今もなお解剖学書や医学図譜集に使用されている。
医療画家として大きな成功をおさめたネッターだが、その人生はどんなものだったのだろう?
・大恐慌時代にイラストで生計をたてた外科医
子どものころから画家になりたいという夢を抱いていたネッター。大恐慌時代(1929~33年)、外科医として働いたが、彼はそのときすでに画家でもあった。
学生のころ、ニューヨーク大学と2つの名門美術大学の学費を支払うべく、絵を描いて教授に売っていたのだ。
また、ニューヨークで個人開業したものの不景気のため患者の支払いが滞りがちで経営が上手くいかず、イラストや絵画を売って生計をたてていた。
・思いもよらない高値でイラストが売れる幸運
するとそのうち、広告キャンペーンで彼の絵を使いたいという顧客が現れ、5枚1組のイラストが約84万円という高額で売れた。
ネッターはもともと5枚1組で約17万円の値をつけていたのだが、顧客が1枚約17万円と勘違いしたのだそうだ。
ネッターは1934年、28歳のころに外科医をやめた。医療画家として生きていくことを決意したのだ。
それでは、ネッターが描いた医療イラストを見ていくことにしよう。