武士の肝試し:幽霊なんか怖くない?頼光四天王「平季武」の肝試しエピソード(下) (2/3ページ)
「さぁ抱いてやろうじゃねぇか、てめぇこの野郎!」
原文「イデ抱(いだ)カム、己(おのれ)」
そう季武が答えると、産女はすぐに
「この子だよ……ほうれ」
原文「此レハ、クハ」
と赤子を差し出すので、季武は赤子を奪い取るなり先を急ぎました。
これに慌てたのは産女の方で、まさか赤子を奪い去るとは思っていなかったようで、
「あぁ、その子を返して下さいな」
原文「イデ、其ノ子返シ令得(えしめ)ヨ」
と追いすがります。
奪われて悲しむくらいなら、そもそも差し出すなよ、とも思いますが、とにもかくにも季武はためらいもなく
「今は返せねぇよ。てめぇこの野郎!」
原文「今ハ不返(かえす)マジ、己」
と、そのまま川を渡り切り、泣き叫ぶ産女の声を聞き流し、赤子を抱いて帰って行きました。
消えた赤子と、若武者たちの証言
月岡芳年『和漢百物語』より、卜部(平)季武。慶応元1865年。
さて、産女の幽霊から赤子を奪った季武は意気揚々と館へ帰ってきました。
「よぅ、行って来たぞ。