DNAを改変し、カエルの突然変異体を自宅で作れるDIYキットが販売されている件(アメリカ)

カラパイア

DNAを改変し、カエルの突然変異体を自宅で作れるDIYキットが販売されている件(アメリカ)
DNAを改変し、カエルの突然変異体を自宅で作れるDIYキットが販売されている件(アメリカ)


 「でっきるかな でっきるかな ハテハテふむ~ん」と言いながら、自宅で簡単に試せるようになってしまったのは、カエルの突然変異体の制作だ。

 アメリカ・シカゴ大学の生化学・生物物理学者がカエルのDNAを改変するために必要なツールを一式揃えたDIYキット(βテスト版)の販売を開始した。このキットにはカエルも生体も同梱されてくる。

 もしかしたら、カエルにスーパージャンプ能力を目覚めさせることもできるかもしれない。いや、それどころか人間とカエルのハイブリッドすら作れるかもしれなくもない?

・発売元は、自分の体で遺伝子実験を行っているあの男性

 このDIYキットの発売をもくろんでいるのは、あの、ジョサイア・ゼイナー博士である。

 元NASAの職員で、世界初の合成タンパク質ナノテクノロジーを利用した楽器クロモコードChromochord)の発明者で、ついでに昨年、筋肉の成長を促すためにミオスタチン遺伝子を攻撃するようプログラムしたCRISPRツールを自らの体に注射してしまった御仁だ。

・自らの体を実験台に遺伝子編集を行う元NASAの生化学者。腕の筋肉の質量を変化させる注射を打つ : カラパイア

 ゼイナー博士は、ムキムキのマッチョに変身してはいないが、今のところとりあえず無事だ。

 かつて自身の会社「オーディン(The Odin)」社から人間をバイオハックする遺伝子エンジニアリングホームラボキット(ヒトDNA同梱)を発売しようとしたところ、食品医薬品局(FDA)に止められたという過去を持つ。

 個人向け遺伝子セラピーキットの販売については安全性の懸念があるとしてFDAに許可されなかったのだ。

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・人はNG。ならばカエルは?大丈夫そうなので販売

 そこでゼイナー博士は、FDAがカエルを人間並みにおもんばかっているかどうかを確認した。FDAはカエルに対して何の配慮も行っていなかったし、動物福祉法も守ってはいなかったことが判明する。

 ならばと、ゼイナー博士はカエル遺伝子エンジニアリングキットβテスト版(Frog Genetic Engineering Kit Beta Test Version)の販売を開始したのだ。


・入手方法

 このDIYキットのお値段は399ドル(約44,740円)。ネットで注文して、6つの安全対策に関する質問(餌やりの頻度は? カエルに適切な飼育温度は? 等)に回答すれば入手することができる。

Frog Genetic Engineering Kit - Learn to Genetically Modify Animals - The ODIN
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 小包が自宅に届けられたら、それを開封すると中には生きたアマガエル6匹、飼育カゴ2個、麻酔用のベンゾカイン1g、生きたスズムシ、トランスフェクション試薬が混ぜられたDNA20ug入りの注射器10本、リン酸緩衝生理食塩水入りの注射器10本などが詰められている。

 生体であるカエルが同梱されてくるのでアメリカ国内のみの販売となっており、注文したら次の日に届くそうだ。


・カエルを使った遺伝子改変実験は既に実証済み

 このキットの販売されるに至ったのは、6ヶ月の研究成果によるものだ。

 ゼイナー博士自身は、ヒト成長因子IGF-1を含んだDNA混合物をカエルに注射した。その結果、体重が平均よりも23パーセント増加し、さらにカエルの肝臓の中でそのDNAが存在することを確認した。

 つまりカエルがそれを複写しているということだ。

打倒FDAなどとは言いたくありませんが、効果のある新しいモデルを究明せねばなりません。大勢の人が必要な薬を得られずに死んだり、苦しんだりしています。

そうした状況は打破せねば。そうしたことがいつどのようにして起きるのか私には分かりませんが、状況を改善するお手伝いにはなるでしょう

 とゼイナー博士。

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 ゼイナー博士は、カエル用のDIYバイオハッキングツールのことを官僚主義、医療制度、保険の不備に不満を感じている人たちを助ける気高き表示行為だと弁護している。

 カエルの遺伝子を改変することで、その影響を学ぶ――そしていつかは自分自身の遺伝子も改変できるようになるかもしれないという希望をつなぐものだ。

  このキットを注文し、優れた研究結果が認められれば、自分の名前がDIYバイオハッカーの殿堂に掲げられるかもしれないし、そうでもないのかもしれない。少なくとも自由の国、アメリカ在住者に限った話だが。

 そして、自分の体を張って遺伝子改変を行っているゼイナー博士の今後にも注目したいところだ。思ったのと違う変化が現れたらどうしちゃうんだろう?

References:the-odin / bloomberg/ written by hiroching / edited by parumo
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