歯の治療が頭痛や肩コリの原因となる? 咬み合わせの名医がたどりついた「舌」の重要性 (2/5ページ)
ある日本人の師匠には、肩をつかまれて廊下に連れ出されて「それは歯科の範囲ではない。
我々は歯科の範囲で、学問として裏付けが取れている分野で100点を目指せばいい」と言われました。
確かに、それもひとつの見識です。
できもしないのに手を出して、ひどくなってしまうのは患者さんにとって一番困るわけですから。
しかし、習った通りの治療をした結果、肩や首に症状が出た患者さんはどうするんだと。
そこで悩みに悩んだ末、私は普通の歯科医でない道を、歩き始めたのです。
まず、なぜ歯の治療で肩こりや腰痛――いわゆる不定愁訴が起こるのかの研究を、独自に続けました。整体や気功、O-リングテストなどを習い、同時に大学に通って、解剖学と微生物と生理学を勉強し直しました。
解剖学の教授から学生と一緒に、解剖実習の勉強することを許され、専攻生という身分で医局には入り、毎週、解剖実習に通いました。
解剖の実習というのはご遺体を解剖させてもらうわけですが、歯科のカリキュラムは頭頚部が中心です。理由は、そこが国家試験に出るからです。
一応、身体全部の解剖は行うのですが、首から下は頭頚部に比べて、極端に少ないのです。それが、歯科医師の解剖実習です。私が大学に行って、学び直したかったのは、まさにその全身の部分でした。解剖学的に見て、口や歯と全身はどうつながっているかの、確認です。
結果的に、これは宝物のような経験になりました。
国家試験のための勉強は、試験が終わると頭から抜けてきますが、臨床の疑問を基礎系で答えを探す作業は、生きた知識となって身についてきました。その甲斐あって、何年か後には、患者さんの肩こりや頭痛といった症状を、かみ合わせ治療で一定の割合は治せるようになったのです。
ただ、その改善率は、大まかに言って65%くらい。それ以上はどうしても上がらないのです。
患者さんでも大きな差があり、効果のある人には、ものすごく効果があるのですが、効果のない人には全然ない。
この違いがどうして起こるのか? 自分の技量が上がれば、治療効果も上がるのか? それとも、歯科からのアプローチの限界なのか?判断がつきませんでした。