地下アイドルとは何なんだろう:ロマン優光連載120 (2/4ページ)

ブッチNEWS

たとえ、その可能性が低いとしても、そういった道筋が限りなくゼロに近い地下アイドル運営事務所に属するよりは希望があるだろう。

それでもアイドルをやりたいからやる

 地下アイドルの報酬が安すぎるという話がある。本来、それについては地下アイドルの闇とかいう話とはまた別の問題だ。ギャラが安いというのは地上のアイドルだって同じことだ。オリコン一位をとったアイドルの当時の給料が一桁万円、しかも中盤くらいだったという話がある。芸能事務所に属する芸能人の多くは個人事業主として事務所と契約している。所謂雇用関係ではなく、非常に単純にいうなら委託関係であり出来高制だ。先行投資額を回収し利益があがるまではギャラは抑えられる。地下アイドルの世界もそこは同じだ。 約束していた話と待遇が違う、法外な罰金をちらつかせて圧力を加えるなどのパワハラ、セクハラといった問題とは違う話であるのは 、注意すべき点であると思う。
 現行の地下アイドル運営の多くが抱えている問題の一つとして、地下アイドルの世界は「芸能界」ではないのに、まるで「芸能界」であるかのように装って、未成年者や世間知らずな若者を実質騙しているところにある。様々な運営による悪質な行為が明らかになっている現状の中で、特に問題がないようなグループもいっしょくたに考えられ、悪貨に良貨が駆逐されるというか、糞味噌一緒に流される可能性のある状況だ。地下アイドルの世界が存続していくために必要なことは、女の子たちや親に全て正直に説明した上で「それでもやりますか?」というやり方しかないだろう。お互いに納得し、意識を共有した上でやっていくしかない。
 地下アイドルの場が、売れようが売れまいが「それでもアイドルをやりたいからやる人」のために残っていて欲しいという想いがある。「色んな地上のアイドルのオーディションに落ちたけど、それでもアイドルをやりたい女の子」「何か面白いことやりたくて、それには地下アイドルが一番てっとりばやい場所だった女の子」「ライブで見た地下アイドルに憧れて、あの子みたいになりたいと思った女の子」「アイドルという形式で何か面白いことをしたい運営」「理想のアイドルをつくりたい運営」といった人々が、お互いに条件について納得した上で「それでもやりたいからやる」という場であるべきなのだと思う。

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