気候変動の影響はビールにも。大麦の収穫量の減少で世界的なビールの値段の高騰を引き起こす可能性(米研究) (1/2ページ)

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気候変動の影響はビールにも。大麦の収穫量の減少で世界的なビールの値段の高騰を引き起こす可能性(米研究)
気候変動の影響はビールにも。大麦の収穫量の減少で世界的なビールの値段の高騰を引き起こす可能性(米研究)


 気候変動により地球の温度が上昇しているのは事実だ。

 温暖化とは言え、ただ闇雲に気温が高がるということではない。氷河の氷が解け冷たい大気が流れ出すことで冬が寒くなったり、気圧の変動により大雨や台風が起きやすくなる。

 地球温暖化の影響は多岐にわたるのだが、農産物に被害を及ぼしていることは、野菜の高騰などからもわかるだろう。

 カリフォルニア大学アーバイン校の研究によると、人為的な地球温暖による干ばつと熱波が、ビールの主要成分である大麦の作物収量の急激な減少をもたらすと報告してる。

・温暖化の影響を受けやすい大麦

 カリフォルニア大学アーバイン校のスティーブン・デイビス博士らは、5種類の気候系モデルを用いて、ビールの醸造に使われる大麦が温暖化に適応しにくいことを明らかにした。

 コンピューターモデルによると、大麦の収穫量は今世紀の終わりまでに3~17パーセント減少するという。経済分析からは、それがビールの価格上昇につながるという結果が出ている。


・ビールの価格上昇

 幸い……かどうかは分からないが、日本やオーストラリアのような、ビールがすでに高い国では、アメリカやアイルランドほどの価格上昇にはならないかもしれない。。

 しかし一番厳しいシナリオの下では、2099年までにアメリカでは6本入りのパックが2200円以上も値上がりすると予測されている。

 温暖化によって、将来的に作物の産出量がどのくらい影響を受けるのか調べた過去の研究からは、作物を食べる昆虫が増加し、また干ばつも頻繁に起きるようになるため、ビールだけでなくコーヒーにも影響がでると推測されている。

 今回のビールに関しても、それと同様の嬉しくない結果が出てしまった形だ。

 2006年、ヨーロッパを襲った熱波が大麦の収穫高を直撃し、価格が40パーセント上昇したと伝えられた。今回の研究は、今後数十年で、こうした事態が世界中で日常的なものになると告げている。経済的な問題にとどまらず、人々の生活の質に影響する憂慮すべき事態である。
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