アニソンで読み解く「平成」時代:価値観にとらわれない「新人類」と涼宮ハルヒ(平成18年) (2/2ページ)

Jタウンネット

明確なエビデンスは全くないが、SNSの普及と「ワイドショー型内閣」の終焉はある種象徴的なめぐりあわせのように思える。

動画投稿サイトの普及

これもある種のSNSともいえるが、ニコニコ動画のサービス開始もこの年である。また、YouTubeは前年にサービス開始したが、この年にgoogleが買収、翌年に日本語版がスタートした。動画投稿サイトの出現により、音楽やイラストの提供、更には従来テレビのバラエティ番組が担っていた役割まで動画投稿者が担うことになった。いわば、動画投稿者は素人であるのだが、自らが投稿した動画がヒットすることにより、プロデビューすることも多くなった。さらにいえば、素人とプロの線引きが曖昧になったとも指摘できよう。これも、既存のビジネスモデルの崩壊とまで書くと大げさかもしれないが、少なくとも従来の価値観を根底から覆すような衝撃であった。

「新人類」と「新人類ジュニア」

「新人類」の子供を「新人類ジュニア」という。先述のように平成18年は「新人類」の定着から20年経過しているので、「新人類ジュニア」は当時おおよそ中学生から高校生だったことであろう(実際、筆者がそうである)。この二つの世代を連結した場合、以下のことが推測できる。「新人類」は既存の価値観にとらわれなかった。それゆえ、彼らが作り出した概念(美しい国、SNS、動画投稿サイトなど)が20年の時を経て具現化した。そして、それの受容者となったのが彼らの子供たちなのではないか。すなわち、「新人類」は従来とは異なる概念を発信したが、「新人類ジュニア」はそれを受容し、いわば乗っかったのである。それから更に12年が経ち、そろそろ「新人類ジュニア」の持つ異なる価値観が具現化される頃だ。その時、私たちの生活はどうなるのであろうか。

2006年を代表するアニメソング

既存の価値観にとらわれない自由奔放な発想、そしてそれの具現化。2006年に放送された「涼宮ハルヒの憂鬱」のOP「冒険でしょでしょ」が象徴的かつ示唆的であろう。歌詞をよくご覧になっていただいた後、それを聞きながら再びこの記事を読んでいただければ幸甚の極みである。

安藤ろぽふ筆者:安藤ろぽふ平成3(1991)年生まれ。ロシアにおけるノスタルジーを研究している大学院生。ソ連史、昭和アイドル、平成アニソン、純喫茶が主なテリトリー。基本的に懐かしいものが好き。ツイッター(@return_to_2000)。
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