横浜で美技見せた豪州代表フォラウ。天才フットボーラーが振り返るNZ戦。

ラグビーリパブリック

敗戦の中でも才能の高さを見せたイズラエル・フォラウ。(撮影/松本かおり)

 前半25分のハイボールキャッチに、日産スタジアム(横浜国際総合競技場)がどよめいた。オーストラリア代表“ワラビーズ”の天才フットボーラー、CTBイズラエル・フォラウの美技を4万6143人が目の当たりにした。

「ハイボールのキャッチは大事な仕事です。(ニュージーランド代表には)ベン・スミスなどハイボールが得意な選手がいます。彼らに負けずにしっかりボールを保持して、チームのポゼッションに貢献することが重要です」(CTBフォラウ)

 10月27日に神奈川・日産スタジアムで行われた「ブレディスローカップ」第3戦。

 伝統の定期戦で、0勝2敗のワラビーズは、16年連続のカップ保持を決めていた2勝0敗のニュージーランド代表“オールブラックス”に20-37で退けられた。

「セットピースはもう少しクリーンボールで獲得しなければいけません。この試合に向けては、アタックにはフォーカスせず、ディフェンスに集中してやってきました。改善もできましたが、もちろんこれから修正して努力しなければいけない部分はあります」

 フルバックのイメージが強いフォラウだが、スーパーラグビーの所属先であるワラターズ(オーストラリア)同様、代表でもWTBやCTB(13番)でプレーする。この日は先発13番を背負った。

「チームでは3つのポジションをしています。ウイング、フルバック、13番です。チームによって役割は異なり、今日は13番でプレーしたので、フロントラインに入ってボールの奪い合いにも参加します。フルバックだともっとスペースがあります。どのポジションも楽しんでいます」

 代表レベルで3つのポジションをこなすハイレベルなユーティリティ性。そこにはユニークな経歴が関係している。

 オーストラリア西海岸で盛んな13人制ラグビーが出発点。シンプルな全速力の正面衝突も多く、ディフェンスに厳しさが求められる13人制で、18歳と194日で13人制豪州代表デビュー。史上最年少記録を更新すると、次に挑戦したのはハイボールキャッチが重要なスキルとなるオーストラリアン・フットボール(オージールールズ)。

 

 2013年シーズンから15人制へ転向し、同年6月のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦で、15人制でも豪州代表デビュー。29歳の現在までに70キャップを重ねている。

 

 競技の枠を超えた天才は、豊富な競技経験がスキルの獲得に役立ったかという質問に「もちろんそうです」と答えた。

 

「私はリーグ(13人制)で育ち、ユニオン(15人制)はしたことがありませんでした。最も高いレベルで、オージールールズでもやってきました。特にオージールールズでのスキルは、いま行っているラグビーに役立っています」

 193㌢109㌔の体格と才能、そして多彩な競技経験がフォラウにオンリーワンの輝きを与えている。

 永遠のライバル・オールブラックスをよく知る立場でもあるフォラウ。11月3日(土)に対戦する日本代表へのアドバイスを求められ、こう答えた。

「速いテンポでボールを回すのが日本だと思うので、それがオールブラックスには良いと思います。自分たちのペースで試合をして、自分たちの強みを出すことが大事です」

 ジャパンにエールを送り、爽やかに取材ゾーンを後にした。

(文/多羅正崇)
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