「2001年宇宙の旅」HAL 9000からヒントを得た人工知能(AI)を開発。宇宙飛行士の安全を守る(米研究) (3/3ページ)
「チームやパートナーのNASAは、CASEが制御不能になるような事態は心配していません。プログラムされていないことは実行できないようになっているからです。」(ボナッソ氏)
シミュレーション実験では、CASEは惑星基地を4時間にわたってきちんと管理することに成功した。
ただし、実際の基地を管理するには、まだまだ研究開発が必要であることは言うまでもない。
「CASEは素晴らしいですが、『2001年宇宙の旅』から飛び出した本物のHALでも、『スタートレック』に登場する本物のデータ少佐でもありません。その能力はかなり限られており、惑星基地での出来事のみに特化しています。生命維持システムを稼働させることはできますが、前回の大統領選で誰が当選したのかといったことはちっとも知りません。」(ボナッソ氏)
・NASAのアナログミッションと連携して実験中
現在、CASEはNASAが「アナログ(類似物)」と呼ぶミッションと連携している――ボランティアが遠く離れた惑星での生活を想定して暮らすという実験ミッションだ。
長期的な目標は、CASEをアナログに組み込み、きちんとそこの状況を改善するのかどうか確かめることだという。
ボナッソ氏はときおり、自分たちの試みがHALの現実バージョンの作成であると見失うことがあるという。
「ソフトウェアの開発に没頭すると、火星や月での暮らしはこんな感じだろうと想像しているのだということを忘れることがあります。たまには一歩引いてみて、その素晴らしさを確かめる必要もありますね。」(ボナッソ氏)
References:This HAL 9000-Inspired AI Simulation Kept Its Virtual Astronauts Alive/ written by hiroching / edited by parumo