長嶋茂雄VS原辰徳、巨人軍を揺るがす「38年目の恩讐」大爆発!

日刊大衆

写真はイメージです
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 かつて「師弟コンビ」と呼ばれた名将2人の間に入った亀裂。巨人軍崩壊の序章は、すでに始まりを迎えているのかもしれない!?

 プロ野球はストーブリーグに入り、来シーズンに向けて、各チームの戦力補強が大詰めを迎えている。中でも注目を集めるのは、やはり巨人軍。原辰徳“全権”監督(60)の動向だ。「過去2回の政権時とは違い、今回、原監督にはスタッフから選手まで、チーム編成のすべてが任されています。それだけに、原監督がどう動くのか、ファンならずとも気になりますよね」(スポーツ紙デスク)

 巨人は4年連続で優勝を逃しており、来季は何よりも結果が求められる。「巨人が来年もV逸となれば、球団創設以来のワースト記録。そんな緊急事態だからこそ、球団は原監督に権力を集中させたわけです。しかし、フタを開けてみれば、チーム改革があまりに独善的だと、早くも悪評が渦巻いています」(前同)

 原監督の就任に伴い、巨人はGM制を事実上廃止。さらには、2軍、3軍の垣根をなくして「ファーム」として一本化するなど、組織を大きく変更した。「この“原シフト”のせいで、近年、巨人軍が目指してきた先進的な組織作りがムダになっています。さらには、コーチに未経験者を多数起用したこともあって、巨人OBから原監督への批判が多数、上がりました」(球界関係者)

 そして、原監督の“独りよがり”なチーム編成に、誰より胸を痛めている大物OBがいる。ミスターこと長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督(82)だ。8月に倒れて以来、今なお病床にある長嶋氏だが、野球への情熱は衰えず、巨人のことも絶えず気にかけているという。「原監督の就任会見にもコメントを寄せていましたが、人事などの報告は球団側から、しっかりとなされているようです」(球界事情通)

 もともと長嶋氏は、今回の原監督就任に大きな期待を寄せていた。「ミスターは、“原なら必ず巨人を立て直せる”とまで断言していたそうです。しかし、その後の独裁ぶりを知ると一変。“いったい何やってるんだ!”と、原監督に対して怒りをあらわにしたというんです」(前同)

■甘いFA戦略、なぜ炭谷銀仁朗捕手を?

 チームを立て直すための“全権監督”が、悪い方向に向かっている――。そんな長嶋氏やOBたちの危惧は、組織改編だけではなく選手補強にも向けられている。象徴的なのは、FA戦略だ。今年FA宣言をした選手は、丸佳浩外野手(広島)、浅村栄斗内野手(西武)、炭谷銀仁朗捕手(西武)、西勇輝投手(オリックス)の4人。原巨人は、丸と炭谷の獲得をもくろんだ。「丸は、広島3連覇の立役者で現在29歳と、まさに今が旬。今年最大の目玉ですから、獲得に動くのは当然でしょう。しかし、問題はもう一人のほうで……。なぜ炭谷なのかという声が続出しているんです」(スポーツ紙記者)

 巨人は16日に炭谷と初交渉。3年6億円という破格の好条件を提示。「今の巨人の課題は投手力。そのため、もともとは炭谷ではなく、西を獲得する予定だったといいます。しかし原監督が就任し、鶴の一声で方針転換したようなんです」(巨人番記者)

 現在、巨人で正捕手と言える存在は小林誠司だ。甘いマスクで女性に人気がある一方、打撃とリードに問題があり、期待されながらも選手としての評価はなかなか上がっていない。「原監督が小林では不安なのは分かります。しかし、来季から阿部慎之助が捕手に復帰し、ドラフトで獲った若手も育ってきている。そんな状況で、わざわざ貴重なFA枠を使って炭谷を獲るとは……理解に苦しむのは確かです」(前同)

 今季の炭谷は、“打てる捕手”森友哉の台頭に押され、出場は47試合のみ。来年32歳という年齢を考えても、小林に代わって大活躍するとは、考えにくい。実は、巨人OBのソフトバンク王貞治会長(78)も、炭谷獲得には苦言を呈していたという。「王さんは、親しい記者に“(炭谷は)本当に今、必要な選手なのかな……”と、こぼしていたようです。正捕手にもならない選手をFAで補強しても意味がない、ということでしょうね」(前出の球界事情通)

 また、前出の巨人番記者は今回のFA戦略に関して、こう分析する。「今回、ミスターだったら、確実に浅村を獲りに行ったでしょうね。浅村は、猛打を誇る西武“山賊打線”の中核で、丸と並ぶ今季FAの目玉。両獲りして、超攻撃的打線を組んだのでは」

 今年のパ・リーグを圧倒的な攻撃力で制した西武。3番に座る浅村は、打率3割1分、32本塁打、127打点という好成績を残し、打点王にも輝いている。「今年、岡本(和真)が成長したといっても、巨人で他に頼りにできるバッターは坂本(勇人)だけ。丸だって、ロッテと広島が目の色を変えて狙っていたから、獲得できるかは分からなかった。ミスターにしてみれば、浅村の獲得に動かなかったのは“甘い”と感じるでしょうね」(番記者)

■ドラフトにも原全権監督の悪影響

 さらに、原全権監督の悪影響は、ドラフトでも見受けられたという。今年の巨人は、外れ外れ1位で八戸学院大の高橋優貴投手を獲得した。「高橋投手は東海大菅生高の出身。さらに八戸学院大の正村監督は、東海大出身で原監督の後輩なんです。“2位以下でも獲れる”という評価だった無名の高橋投手を、あえて1位で指名したのは、原監督おなじみの“東海大人脈”によるものだったと、もっぱらです」(スポーツ紙ベテラン記者)

 以前から、たびたび“お友達内閣”と揶揄されてきた原監督。ベテラン記者は長嶋氏と比較しながら、こう続ける。「ドラフトは東海大人脈で、コーチ陣は新人と原ファミリーばかり。オリックスを自由契約になった中島裕之の獲得に動いているのも、原監督の“お気に入り”だから。つまり、原監督は自分の思い通りになる人間だけを集めているんです。その点、ミスターは、たとえ自分と考え方が違っても、巨人の勝利のためなら、なんでも受け入れた。それこそ、原が長嶋第二次政権に入閣したのがいい例です」(前同)

 指導者としてのあり方が大きく違う原監督と長嶋氏。そもそも、2人の関係の始まりは38年前。原がドラフトで巨人に指名される1980年に、さかのぼる。「甲子園のスターとして、すでに全国区の人気者だった原は、巨人としても待望のスーパースター候補。ミスターは“背番号3を譲ってもいい”とまで言い、自身の後継者だと期待を寄せていました」(当時を知る元記者)

 だが、人気・実力ともに突出した逸材を他球団が放っておくはずもない。ドラフトでは4球団が1位で競合する。「残念ながらドラフトの前に、長嶋氏は監督を解任。後任の藤田元司監督が、見事に当たりクジを引き当てました。そして、その後、藤田監督は我慢強く原を4番で起用し続け、“巨人のスター”へと育て上げた。原はそんな藤田監督に感謝し、“恩人以上の恩人”と公言しています」(前同)

 原の指導者への道を拓いたのも、また藤田氏だった。「長嶋第二次政権時、読売グループの上層部から後継者の選定を頼まれた藤田氏は、迷うことなく原を推薦。一軍野手総合コーチとして入閣させています」(同)

 これは長嶋監督の意向とは関係なく、トップダウンで決まった人事だった。「当時の原はバリバリの藤田派。ましてや現役晩年、チャンスで代打を送られるなど冷遇されていたこともあって、長嶋監督とは距離を置いていた。しかしミスターは、純粋に“将来の監督候補”として原の入閣を歓迎したんです」(同)

 長嶋氏は原コーチに帝王学を惜しみなく伝授。試合後には、2人で采配を振り返るのが恒例となった。そして2001年、長嶋監督の勇退を受け、原新監督が誕生する。「原監督は“長嶋野球を継承する”と宣言。確かにFA補強に貪欲なのはミスター譲りでしたが、采配そのものに関しては、藤田さんの影響が強かったですね」(前出の番記者)

 攻撃重視型の長嶋監督に対して、藤田監督の采配は守りから入る堅実型だと評されていた。「これまでの采配手腕を見ても、原監督は夢より実利を取る超現実主義。しかし、ミスターのほうは、勝利にこだわりながら、同時にファンを喜ばせる“華”も重要視する人。指揮官としての原を認めてはいても、ミスターは、どこか物足りなさを感じているのではないでしょうか」(事情通)

■松井秀喜監督の実現は遠のいた?

 振り返れば、長嶋氏はFAでもドラフトでも、スター性のある選手を好んでいた。そんな観点から見れば、長嶋氏が原監督の“華のない”補強に不満を抱いても不思議ではないだろう。そして、もう一点、両者の価値観の違いを裏づけるものがあるという。

「それは松井秀喜の存在です。ミスターが松井の監督就任を熱望する一方、原監督は松井を後継者として認めていないんです」(前同)

 長嶋氏が、“松井を監督にするのが最後の仕事”と言い切っているのは有名な話。だが、原監督の存在が、松井監督誕生の一つの障害になっているというのだ。きっかけは2002年、松井のメジャー移籍だった。「当時、松井は引き止め役を務めた原監督を袖にして巨人を出て行った。そのとき、両者に大きな遺恨が残ったといいます」(前同)

 そこで悪化した2人の関係は、今なお改善していないという。「もともと球団内では、原から松井に帝王学を伝授させる構想だった。しかし今となっては、たとえ松井がその気になったとしても、原監督の後任はおろか、入閣すら難しいでしょう。結局、巨人の未来にも、原イズムの悪影響が及んでしまっているんです」(同)

 長嶋氏は、原全権監督の就任会見の際、次のようなメッセージを贈っている。〈ジャイアンツは、多くのファンの期待に応えるために、常に勝たなければならない〉

「常勝巨人」、そして「ファンのために」という大義の前では、個人のプライドなど捨てるべき。長嶋氏の怒りは、そんな思いから出たものかもしれない。

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