小さな村を書くことで世界を書く ポルトガル文学の注目作家が語る創作の秘密 (2/4ページ)

新刊JP

そんな遠い場所ですから、私よりも上の世代のガルヴェイアスの人にとっては、リスボンというのは大人にならないと行くことができない場所でしたし、大人になってもだいたいは病院に行くためだったり、あるいは徴兵だったりといった事情がないと行けませんでした。

ただ、今は感覚上の距離はずいぶん縮まりましたね。それがあって若者がリスボンに出て行くことが増えています。

          表紙

――地元に若者が残らないという問題は日本にもあります。

ペイショット:この小説は色々な国で翻訳版が出ていますが、各地からの反応から都市への一極集中はどこの国でも同じなんだということがわかります。この本には人が次々と離れていく地方や田舎を擁護したいという目的もあるんです。

――作中では基本的にガルヴェイアスの内部で起きた出来事が様々な視点から語られます。個人的には小さな村独特の人間関係の濃さが目につきました。舞台設定は1984年ですが、こうした濃密な人間関係は今のガルヴェイアスにも残っているのでしょうか。

ペイショット:小さな共同体の特徴でしょうね。共同体が小さいほど、一個人の持つ価値は大きくなります。

もちろんいい面と悪い面があって、いい面は自分が一人ではないと感じられること。悪い面は共同体すべてのコントロールが自分にも向かってくることです。テクノロジーが進んだとしても、そういう小さな共同体の空気は変わらないと思います。ガルヴェイアスもずっとそんな感じです。

――どの登場人物も強烈な個性を放っています。「住民」とひとくくりにされるのを拒否しているかのようでした。

ペイショット:登場人物については、一つのアイデンティティを皆で分け合っている気がします。一人の人間のアイデンティティには様々な要素がありますが、それらの要素を登場人物がそれぞれ反映している。

一方で私がこの小説でやりたかったのは「集団を書くこと」です。

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