小さな村を書くことで世界を書く ポルトガル文学の注目作家が語る創作の秘密 (3/4ページ)
ですから割れた鏡の破片が様々な角度から様々なものを映し出すように、共同体の中の多様性を反映しているような人物たちを書いていきました。
――非常にたくさんの人が登場する『ガルヴェイアスの犬』ですが、今おっしゃたような共同体の中の多様性を表現するためにどのような試みをされましたか?ペイショット:ひとまずは登場人物たちがそれぞれに特徴を持つように書こうと思いました。特徴ある人物たちが行き交って人間関係が生まれ、それらの人間関係が混ざり合うことでガルヴェイアスという共同体が見えてくる。
また、大事な役割を果たしているのは犬です。冒頭で犬についての描写が続きますが、それによってガルヴェイアスには色も大きさも声も様々なたくさんの犬がいることを示したかったんです。なぜなら、犬たちは各場面のあちこちに現れて、小説の断片と断片を繋ぎ合わせる役目を果たしているからです。
だから、この本の日本語訳のタイトルが『ガルヴェイアスの犬』となったのはすごく面白いと思いました。原題は『ガルヴェイアス』だけなんです。

ペイショット:実はそれはよく聞かれるんです。この小説に出てくる登場人物はみな二つの面があります。パブリックな面とプライベートな面です。プライベートな面は本人と限られた人しか知りませんが、パブリックな面についてはそれこそ村の人は全員が知っている。
排泄物を投げつけたというのはその人のパブリックな面ですよね。ガルヴェイアスの村人ならそういう事件が以前にあったということをみんな知っています(笑)。
――今のお話でいうと、村人それぞれの「プライベートな面」の描写が作品に深みを与えている気がします。それぞれのプライベートがとても人間くさい。