フォークナー、マルケス、サラマーゴ ポルトガル文学の旗手が影響を受けた作家たち (3/3ページ)

新刊JP

          表紙

――世界は分断に向かっているといわれる中で、時に反目し対立しながらも交じり合って暮らしているガルヴェイアスの人々は救いのようにも思えました。今の時代における文学やフィクションの役割についてお考えをお聞きしたいです。

ペイショット:すべてにスピードを求められている時代ですが、こうした中に生きていると私たちは自分自身を見つめたり一つのものについて時間をかけて大事に考えることを忘れてしまいます。そして、自分にとって大事なことについて考える場所も足りなくなっている。そのための時間と場所を与えるというのは文学の大きな役割だと思っています。

また、文学は境界やバリアとは反対のところにあるものです。なぜなら文学は共感からできていて、他人の目から見た世界を私たちに想像させてくれたり、私たちの世界とはまったく別のところに連れて行ってくれるわけですから。

――最後に、日本の読者にメッセージをお願いします。

ペイショット:この本を読んでみようという興味をもってくださった方々一人一人に深い感謝の念を抱いています。いろいろなことに想像を巡らせるのが作家というものですが、まさか自分の本が日本語に訳されて東京で取材を受けて話をするなんて思ってもみないことでした。これほどの喜びは人がそう簡単に持てるものではありません。
(インタビュー・記事/山田洋介)

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