ソフトバンク王貞治「V9の巨人を超えた!」長嶋茂雄も脱帽

日刊大衆

写真はイメージです
写真はイメージです

 往年の最強軍のスターは、福岡の地でとんでもない常勝軍団を作り上げた。「球界の盟主」の座は、今“世界の王”の手中にある…!

 10月25日、福岡の街は笑顔であふれた。この日、2年連続日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークスの優勝祝賀パレードが行われ、過去最高となる約37万人ものファンが集結。地元の英雄たちに惜しみない声援が送られた。「今季のソフトバンクは、ペナントレースでは2位。しかしCSでリーグ優勝した西武を撃破し、日本シリーズでも広島を4勝1敗1分と圧倒。ズバ抜けた実力を見せつけました」(スポーツ紙記者)

 ソフトバンクは、2014年からの5年間で、実に日本一4回。もはや“常勝軍団”と言っても過言ではない。球団の立ち上げから、チームを支えている王貞治会長(78)も、その手応えを感じているようだ。「王さんは夕刊紙のインタビューの中で、“巨人のV9はドラフトがなかった時代。平成になって(前身のダイエー時代も含め)7回も日本一というのは大したこと”とコメント。控えめですが、実質的な“巨人超え”宣言でしょう。V9の主力だった王さん自身の言葉ですから、重みがあります」(スポーツライター)

 これまで日本球界の頂点には、常に「巨人軍」が君臨し、人気・実力ともに他球団をリードし続けてきた。しかし近年、そんな“球界の盟主”の存在感は希薄になってきている。「成績だけ見れば、森祇晶監督が率いた西武黄金期のように、強い球団はあった。しかし、今のソフトバンクは強いだけじゃない。他の面でも球界を引っ張る存在になっているんです。もはや球界のトップは、巨人ではありません」(前同)

 “球界の盟主”の交代劇。実は4年前、それを予感させる出来事があった。2014年オフ、韓国プロ野球で防御率、奪三振の投手二冠を獲得した、バンデンハーク(33)の争奪戦が繰り広げられたときのことだ。「巨人とソフトバンクによる一騎打ちの末、ソフトバンクが獲得に成功。ソフトバンクは、巨人を上回る金額を提示していたんです。“あの巨人がマネーゲームで負けた”と、記者の間で大きな話題になりました」(スポーツ紙ベテラン記者)

 FA選手や他チームの主力外国人選手を、“破格の好条件”でモノにする、巨人のお家芸は、すっかりソフトバンクにお株を奪われてしまったというわけだ。ベテラン記者は続ける。「ソフトバンクは、日本人選手の平均年俸も3年連続で12球団トップ。しかも2位の巨人に1000万円以上の差をつけている。“資金力では巨人が一番”という球界の常識は、すでに過去の話になっています」

■FA補強ゼロでも平均年俸が上昇

 ただし、ソフトバンクの平均年俸が球界一であることには、違った意味合いも含まれているのだという。「かつての巨人のように、毎年FAで高年俸の選手を獲っているわけではない。それでも平均年俸が年々上昇しているのは、選手が活躍して結果を残し、チームの成績に結びついているという証拠でもあるんです」(ベテラン記者)

 実際、工藤公康監督(55)就任後の4年間で、FA補強はゼロ。外国人を除けば、大金を使って獲得したのは、メジャー帰りの松坂大輔(38/現・中日)と和田毅(37)のみ。しかし、平均年俸は約2000万円も上がっている。「この数年、育成出身の若手がどんどん頭角を現してきています。ただ金にモノを言わせて補強するだけじゃなく、自前の選手もちゃんと育てている。そんな育成力も、ソフトバンクの強さの一因でしょうね」(鷹番記者)

 それを象徴する存在が、キャッチャーの甲斐拓也(26)だろう。今年の日本シリーズでは、“甲斐キャノン”と称される超強肩で、機動力を誇る広島の盗塁をことごとく阻止。シリーズのMVPにも輝いた。「甲斐は2011年、強肩という一芸を買われ、育成枠で入団。3軍でじっくり鍛えられた後、13年に支配下選手登録されると、17年から正捕手の座を勝ち取っています」(前同)

 育成枠の選手は年俸270万円程度。甲斐の今季年俸は推定4000万円だから、約15倍にアップしていることになる。

 ちなみに、甲斐が入団した同年、ソフトバンクは他球団に先駆けて3軍制を導入。育成選手にも、多く実戦経験を積ませようという狙いからだった。「16年には、2軍・3軍専用の『ベースボールパーク筑後』が設立されたんですが、これが本当にハンパない。球場2つに室内練習場、寮やクラブハウスもあり、最新鋭の練習機材までそろっている。とてもファームの施設とは思えません(笑)。これだけ金をかけるのは、育成を大事に考えている証でしょう」(同)

 現在、巨人も3軍制を敷いているが、まだ成果が出ているとは言えないようだ。「巨人で育成枠から1軍で活躍したのは、“育成の星”と呼ばれた山口(鉄也)と松本(哲也)くらい。一方、ソフトバンクは今年1軍で登板した投手だけでも、エースの千賀(滉大)を筆頭に、石川(柊太)、モイネロ、大竹(耕太郎)、二保(旭)と育成出身者が5人もいる。彼らだけで35勝していますから、スゴイですよ」(スポーツ紙デスク)

■コーチ陣にも大きな差

 さらに、このデスクは選手を育てるコーチ陣にも、両球団の大きな差があると語る。

「巨人のファームコーチの顔ぶれを見ると、FA移籍組が本当に多い。これは契約時に、コーチとしての“再就職”を約束しているから。つまり、育成手腕は二の次なんです」(前同)

 片やソフトバンクは、コーチも数年先を見据えて起用しているのだという。いい例が、今年2軍打撃コーチに就任した新井宏昌氏だ。

「新井コーチといえば、イチローや丸(佳浩/広島)を育てた左打者育成のスペシャリスト。今回の起用は、ドラフト1位で指名した小園海斗(広島)を英才教育するためだったといわれています。残念ながら小園は獲得できませんでしたが、期待の若手に左バッターが多いので、手腕を発揮してくれるでしょうね」(同)

■孫正義オーナーのバックアップも大きいが

 資金は潤沢、加えて選手の育成面や環境も整っている。たった13年で、ソフトバンクはそんな完璧とも思える組織を作り上げた。

「ソフトバンクがこれほどの球団になったのは、親会社や孫正義オーナーのバックアップがあってこそ。しかし同時に、王会長の果たした役割も非常に大きい。王会長がいなければ、今のチームはないでしょうね」(球界事情通)

■リストラの憂き目に遭っても

 前身のダイエーから引き続き、ソフトバンクの初代監督を務めた王会長。現在もGM職を兼任し、長年チーム編成を司っている。そんな王会長でも、巨人監督時代には解任の憂き目に遭っている。「巨人での5年間、優勝1回で、Bクラス転落は一度もありませんでした。それでも球団は、王さんをあっさり切った。その非情さは、“常勝”が求められる球界の盟主だからこそ……だったのかもしれません」(当時を知る元記者)

 そして長い浪人生活を送った後、再び袖を通したユニフォームは、巨人のものではなかった。「巨人の看板スターが、地方の新興球団だったダイエーの監督になるなんて、昔じゃ考えられない。王さんに理由を聞いてみると、“パ・リーグなら巨人と戦わない、しかも福岡は東京から一番遠いからね”と答えた。きっと、もう巨人のユニフォームは着ないと覚悟を決めたんでしょうね」(前同)

 そんな王会長の決断には、巨人の盟友・ミスターこと長嶋茂雄氏(82)も感服していたという。「巨人を離れ、新天地で苦労する王さんを見て、ミスターは“ワンちゃんらしいな。苦労を承知で飛び込んでいくなんて、僕にはとてもできないよ”と口にしていました」(同)

 巨人と決別してまで戻ってきたグラウンド。王会長は、それだけ「現場への強いこだわりを持っている」(元記者)のだという。それは、2008年の監督勇退時のエピソードにも現れている。「孫オーナーから会長就任の打診を受けた際、王さんは“名誉職”を拒否。そして今後、自分が役に立てるのはチーム編成だと、兼任でのGM職を買って出たんだそうです」(鷹番記者)

 王会長は78歳となった今もなお、チーム強化のため、精力的に動き回っている。そんな王会長に対する孫オーナーの信頼は絶大だ。「孫さんが王さんに口出しすることはありません。そもそも球団買収時、孫さんの出した条件が“王さんがチームに残る”こと。孫さんが目指す“世界一の球団”には、“世界の王”が必要不可欠と考えていた。まずは王さんありき、なんです」(事情通)

 孫オーナーが、MLB優勝チームとの“真のワールドシリーズ”を真剣に目論んでいるのは有名な話。求めるものは、極めて高い。「孫オーナーは、今回の日本一を祝福しながらも“リーグで2位になったことを重く受け止めてください”と苦言を呈したといいます。この発言には、王会長も同意していたようです」(同)

 日本一でも手綱を緩めない常勝軍団。もはやソフトバンクにとって、“球界の盟主”巨人は視界にすら入っていないのかもしれない。

「ソフトバンク王貞治「V9の巨人を超えた!」長嶋茂雄も脱帽」のページです。デイリーニュースオンラインは、王貞治工藤公康長嶋茂雄優勝ソフトバンクスポーツなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧