五木寛之×椎名誠「僕たちはどう死ぬるか」(3)ひっきりなしに70代が鬼籍に… (1/2ページ)

アサ芸プラス

五木寛之×椎名誠「僕たちはどう死ぬるか」(3)ひっきりなしに70代が鬼籍に…

五木 昔は人生50年とか言ってたでしょう。いまはそれが倍になって、75歳からあと25年間も生きる可能性があるという。人生後半の4分の1、75歳から100歳までの間をどう生きるか、そしてその後に何が待っているのかとか。もう“老い”の時期を過ぎて、“死”ということを、わりと平静にしかも悲壮ではなく楽しげに考える時期にさしかかったのかなという気がしているんです。

椎名 この頃ひっきりなしに70代くらいの人たちが鬼籍に入ってて、そういうニュースに接すると、じわじわと責められているような気がして、ちょっと背筋がゾクゾクしますね(笑)。

五木 先ごろ(9月17日)、シャンソン歌手のシャルル・アズナブールのコンサートがNHKホールであったでしょう。90歳を超えているのに、その後には大阪で歌って、つぎはウクライナのキエフでコンサートをやると聞いてたんですが、フランスに帰国して間もなく10月1日に亡くなってしまった。ついこの間、元気にステージをこなしていたのに。死というものは、どこか遠くからじわじわと来るものではないんですね。吉田兼好法師が言っているように「死は前よりしも来らず、かねて後ろに迫れり」です。ある日突然に後ろから背中をポンとたたかれるようなものだと。そう考えると、ふだんから死の準備というか、心づもりというか、これを楽しみながらやっておかないといかんなあというふうに、最近思うようになった。

椎名 5年ほど前に『ぼくがいま、死について思うこと』(新潮社)というのを書いて、それ以来いろいろな“死”とか葬送などについての本をたくさん読んだりしているんですが、自分の死については、やはり実感がないんです。

五木 かつて上智大学のアルファンス・ディーケン先生や吉本隆明が『死の位相学』などの評論を発表したり、死について一時ブームになったりしたけど、いまぼくらの目の前にあるのは、そういう思想や哲学、形而上学的な問題としてではなくて、現実の問題としてあるんです。

「五木寛之×椎名誠「僕たちはどう死ぬるか」(3)ひっきりなしに70代が鬼籍に…」のページです。デイリーニュースオンラインは、ぼくがいま、死について思うこと椎名誠週刊アサヒ芸能 2018年 12/20号五木寛之作家エンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧