五木寛之×椎名誠「僕たちはどう死ぬるか」(5)存在すべてを消すチベットの鳥葬 (2/3ページ)

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(宇宙とか自然への)供養とか布施とか、そういう感じなわけだ。

椎名 いっそさっぱりして気持ちがいいんですよね。

五木 北九州の筑豊では、むかし葬式のことを「骨噛(ほねか)み」と言ってたんです。ほんとに親しい友人とか親戚などのお骨の一片をカリカリと噛む人もいたらしい。

椎名 ああ、いいですね。北極圏の人たちというのは、ツンドラみたいに凍った大地に埋めてしまうと永久にそこの死体が残ってしまう。それではいけないというので、海に流しているようですね。

五木 これは鵜飼秀徳さんの『無葬社会』(日経BP社)という本に書いてあったんだけど、石川県の火葬場で「ふるさと火葬」というのを始めたというんですね。北陸出身の人たちの遺体を小松へ送って火葬にして、遺骨を東京に送り返すという。この本のサブタイトルは「彷徨う遺体 変わる仏教」となっていました。

椎名 弔わない社会という意味ですね。

五木 20年くらい前にぼくが文藝春秋で出した本ですが、『うらやましい死に方』(五木寛之編・文藝春秋)という文章を一般から募集して1冊の本にまとめた本があったんですが。

椎名 読者から集めた手記ですね、読みました。

五木 けっこう面白い死に方があるんです。死の直前に正座して南無阿弥陀仏と唱えて、「自分はこれから死んで極楽浄土へ行くんだ」と言って、ほんとにそのまま息絶えたなんていうケースがあったり、「あんパンを食べたい」と言って実際にあんパンを食べたあとにコロっと死んじゃったとか、作り話じゃなくて事実として面白かった。今年、『君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)という本が大ベストセラーになったんだけど、まったく、「君たち」でなくて、「おれたちはどう死ぬか」という話なんですよ。死に方についていま真剣に考えないといけないなというのが実感なんです。

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