ロングキック光る。杉山祐太、東海大の日本一に必要な「音」を鳴らす。 (1/2ページ)

ラグビーリパブリック

 東海大ラグビー部2年の杉山祐太は、「音」に敏感だ。

「飛ぶなぁ、という時は、自分でもわかります。当たっている感触も、音も違います」

 12月22日、大阪・キンチョウスタジアムで明大との大学選手権準々決勝に挑む。身長184センチ、体重88キロという恵まれたサイズを誇り、距離の出るキックでチームを前方へ押し出す。

「飛ぶなぁ、という時は…」の言葉は、球に足を当てて振り抜く際の「音」に関するもの。事実、この人がキックを蹴る時は、他の学生選手が出せないようなバシ、ドン、という類の「音」が鳴る。

「状況に応じていろんなキックを蹴っている。現状に満足せず、これからも自分の強みを出していきたいです」

 世田谷ラグビースクール時代はサッカーにも親しんだ。ラグビー一筋になった東海大相模高時代は高校日本代表候補となるなど、その名を知らしめていた。

 東海大へ内部進学後は、存在感を発揮するのにやや時間がかかった。昨季の公式戦出場はゼロ。背景には、心の問題があったという。本人の弁はこうだ。

「自分、もとからメンタルが強い方ではない。だからいろんな人から『もっと自信持てよー』って声をかけていただいて…」

 ところがこの秋、木村季由監督が背中を押す。折しも、モールに手応えを得るなか自慢のFWを前に出す方法を模索中だった。ここで白羽の矢が立ったのが、「ここにきて、アグレッシブになってきた」という杉山のキックだった。

 木村監督は11月25日、加盟する関東大学リーグ戦の最終戦で杉山に背番号11を渡した。本人は指揮官の「強気で行け」という期待に応え、1トライ4ゴールの活躍。陣地を獲得する際のロングキックでも光った。昨季王者の大東大を28-21で下し、2季ぶり8度目の優勝を決める。

 

 たった1試合で、その右足の「音」を多くの関係者にアピールした。

「腹をくくるしかない。デビュー戦だからといって縮こまらず、自軍の強みを出す…。そう思って、覚悟を決めてたっす。(キックは)自分のなかでは感覚として飛んでいる気はしなかったんですけど、一応、エリア合戦は勝っていた。

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