世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第301回 欧州の姿から見える日本の未来 (2/3ページ)
結果的に、フランスの財政赤字がEUのルール(対GDP比3%)を超す可能性が出てきた。
すると、EUから「予算を削れ」と圧力を受けているイタリアのディマイオ副首相が、
「財政赤字の対GDP比率に関する規則がイタリアにとって有効であるならば、それらがマクロン大統領にとっても有効であることを期待する」
と言い出した。
ディマイオ副首相は、フランスもまたイタリア同様に、EUの財政規律を脅かしているとし、EUが両国を同等に扱うことを要求したわけだ。イタリアの思惑は、フランスを巻き込むことにより、EUの財政主権に対する侵害の影響を最小化することだろう。
もっとも、フランスもイタリアも、EUという「グローバリズムの国際協定」に加盟している限り、積極的な財政拡大に打って出ることはできない。さらに、両国ともにユーロ加盟であるため、金融の主権もない。EUやユーロは国家を縛る「呪縛」だ。
ところで、いち早くEUという「呪縛」から抜け出すことを決意したイギリスはどうなっているか。イギリスとEUが11月に合意した「ブレグジット(イギリスのEUからの離脱)」協定案について、英国内での反発が強く、メイ首相が窮地に陥っている。
現在のイギリスとEUとの離脱案は、イギリスが今後もEUのルール、つまりは「呪縛」に縛られる可能性を秘めており、離脱派が反発しているのだ。
最大の問題は、アイルランド国境である。協定案では、連合王国(イギリス)がEUから離脱しても、北アイルランドとアイルランド共和国との国境は、これまで通り、ヒトやモノが「自由」に行き交うことになっている。その場合、北アイルランドはEUの関税同盟に残留することになる。
となると、連合王国の他の地方、例えば、スコットランドやウェールズにとっては、
「なぜ、北アイルランドだけが特別扱いなのだ」
という話になってしまい、さらには北アイルランドの連合王国からの「独立」といった未来すら見え隠れする。
結局、まずは連合王国が北アイルランドを含めEUから完全離脱し、関税同盟からも抜ける。その上で、一般的なWTOルールに則り、EUとの関係を築くしかない。