キャリア官僚がコピペミスで自殺未遂。自分の「異常性」に気付かないのは何故か (2/3ページ)
休日出勤が続くなど、家族も恵一郎の異変に気づきにくかった環境もマイナスに作用した。西多氏は、早めに気づけていればこうした結末を辿ることはなかっただろうと述べている。
■「妻にも職場にも迷惑がかかる」 入院を拒むキャリア官僚ある週末、恵一郎はレンタカーを予約し、出張と偽ってかつて出向していた地へと車を走らせた。着いたのは大きな川――。
彼はそこで入水自殺を試みたのである。
この自殺は、溺れかかっただけで幸いにも未遂に終わった。
地元警察に保護された恵一郎は、慌てて迎えに来た妻に引き取られ、車で帰宅する。しかし、その車内で「このことが職場に知れたら」「キャリアはもうおしまい」という恐怖に捉われ、呼吸を荒げ、「なんとかしてくれ!」と妻にすがりついたのだ。
西多氏は、総合病院に運ばれた恵一郎を診察した医師だった。救急医からは「うつ病が疑われる言動が見られる」という判断が下されていたという。
西多氏の言葉に対して、自分の気持ちを話す恵一郎。
「わたしは、職場だけでなく、日本の行政にまで、はかりしれないダメージを与えてしまったんです」
「行政のシステムというのは、小さなミスが大きな結果として表れるんです」
「今回のわたしのミスは紛れもない事実で、格好のマスコミのネタです。だから先手を打って、テレビや新聞に取り上げられるような死に方をしてやろうと思ったんです」
このような言葉を口にする恵一郎に、西多氏は入院をすすめたが、「先生にも、妻にも、職場にも迷惑がかかる」「自分には休息する価値もない」と拒絶されてしまう。
西多氏による診断は「うつ病」、より詳しく診断するならば「精神病(妄想)をともなううつ病」というものだ。重症で仕事や日常生活など社会機能が低下しやすく。不安、不機嫌、焦燥をともないやすく、自殺の危険性も高いという。
恵一郎が捉われている妄想は「罪業妄想」といい、自分が道徳的、倫理的に重い罪を背負っており、それによって罰せられると確信しているというもの。