菅原文太、松方弘樹…映画『仁義なき戦い』広島弁のシェイクスピア「魂の名台詞」 (3/9ページ)
自分たちが跡目に立候補しない理由を松永は、「ムショで苦労してきた江田がおるけんのう」と、組の功労者である江田省一(山城新伍)を立てた。武田も消極的だ。「人の上に立つほど勲章も持っとらんしの」 2人は、バランスを優先させる組織人だった。
「知らん仏より知っとる鬼のほうがマシじゃけんの」 打本の人間性に疑問を感じた広能は、山守の跡目継承をやむなく容認した。
一方、打本会の若衆が問題を起こすと、打本は、「ボンクラのやることまで責任とりゃせんよ」と、上司の風上にもおけない発言で逃げようとするが、許されず泣く泣く指を詰める。これに対し山守は、「腐れ外道が。指の1本や2本で済むかい」 こちらも、絶対に上司にしたくないタイプである。
第4作、『頂上作戦』は、前作から続く明石組系列の打本陣営と、神戸のもう一つの大組織・神和会と縁組みした山守陣営との対立を描く。明石組に近い広能は前者につく。しかし打本は野心家だが、頼りない男だ。広能の兄弟分でもある明石組の岩井信一(梅宮辰夫)から決起を迫られると、「わしゃもう、事業一本にしぼりたいんじゃ」と論外の弱腰回答。
さらに、味方の義西会会長・岡島友次(小池朝雄)は殺され、広能は逮捕される。岩井は打本陣営の立て直しを図ろうとする。そこへ山守組の武田が訪れ、こう啖呵を切る。「広島極道はイモかもしれんが、旅の風下に立ったことはいっぺんもないんで。神戸の者いうたら、猫一匹通さんけん!」 岩井も負けてはいない。「おんどれらも吐いたツバ飲まんとけよ。ええな!」 さすがの貫禄。リーダーは、こうありたいものだ。
打本陣営は内紛も。川田組組長・川田英光(三上真一郎)は、岡島の後継者・藤田正一(松方弘樹※別役で再登場)の殺害を末端組員にけしかける。「こんなも、ここらで男にならんと、もう舞台は回ってこんど、おう」 強烈なパワハラ指令だ。
警察の取締り強化で、両陣営幹部は軒並み逮捕された。裁判所の廊下で広能は武田と偶然再会。武田によると、山守は懲役1年半。7年4月の懲役が決まった広能は途方に暮れるように言った。「間尺に合わん仕事したのお」
第5作『完結篇』では、山守組は政治結社・天政会に姿を変え、武田が二代目の会長に収まっている。